特定技能「介護」とは?人手不足対策として注目される外国人介護人材を徹底解説
特定技能「介護」とは?人手不足対策として注目される外国人介護人材を徹底解説
日本の介護業界では、深刻な人材不足が長年の課題となっています。高齢化社会の進展により介護サービスの需要は増加し続けている一方で、介護職員の確保は年々難しくなっています。
厚生労働省の推計でも、今後さらに多くの介護人材が必要になると予測されており、多くの介護施設や介護事業所では採用活動を強化しても十分な応募が集まらない状況が続いています。
こうした中で注目されているのが「特定技能・介護」です。
特定技能制度を活用することで、一定の介護知識や日本語能力を持つ外国人材を採用できるため、介護現場での活躍が期待されています。
本記事では、特定技能「介護」の概要や受け入れ条件、採用するメリット、技能実習との違い、成功のポイントまで詳しく解説します。
なぜ介護業界で特定技能人材が注目されているのか
日本では少子高齢化が急速に進行しています。
一方で、介護を必要とする高齢者は増加しており、介護サービスの需要は今後も拡大すると予想されています。
しかし現場では次のような問題が発生しています。
- 求人募集を出しても応募が来ない
- 採用しても短期間で離職してしまう
- 夜勤対応スタッフが不足している
- 職員一人あたりの負担が大きい
- 人員基準を満たせず利用者受け入れを制限している
特に地方では状況が深刻で、介護施設の運営そのものに影響が出ているケースもあります。
そこで人材確保の新たな選択肢として活用が進んでいるのが外国人介護人材です。
特定技能「介護」とは
特定技能とは、2019年に創設された在留資格制度です。
人手不足が深刻な産業分野において、一定の知識や技能を有する外国人を受け入れることを目的としています。
介護分野も対象業種のひとつとなっており、特定技能「介護」を取得した外国人は日本国内の介護施設や事業所で介護業務に従事できます。
特定技能「介護」の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留資格 | 特定技能1号 |
| 対象分野 | 介護 |
| 主な業務 | 身体介護・生活支援・関連業務 |
| 日本語要件 | 介護日本語評価試験+JFT-BasicまたはJLPT N4以上 |
| 雇用形態 | 直接雇用 |
| 報酬 | 日本人と同等以上 |
| 転職 | 同一分野内で可能 |
| 在留期間 | 通算5年 |
技能実習制度と比較すると、より「現場での活躍が期待できる人材」としての位置づけが強い制度といえます。
なお、特定技能「介護」は特定技能1号として最長5年間就労できます。
その後、介護福祉士国家試験に合格し一定の要件を満たすことで、「介護」の在留資格へ移行できる可能性があります。
在留資格「介護」へ移行すると、在留期間の更新を続けながら長期的に就労でき、条件を満たせば家族帯同も可能です。

特定技能外国人が行える介護業務
特定技能外国人は介護職員として幅広い業務に従事できます。
身体介護
利用者の身体に直接触れて支援を行う業務です。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 移乗介助
- 更衣介助
- 口腔ケア
介護現場の中心となる業務に携わることが可能です。
生活支援
利用者の日常生活を支える業務も担当できます。
- 居室清掃
- 洗濯支援
- ベッドメイキング
- 買い物支援
- 見守り業務
関連業務
介護サービス提供に付随する業務も行えます。
- 介護記録作成
- レクリエーション補助
- リハビリ支援
- 行事運営補助
- 環境整備
そのため、日本人介護職員とほぼ同様の業務を担うことができます。
特定技能外国人は夜勤に従事できる?
特定技能「介護」の外国人材は、制度上、夜勤に従事することも可能です。
ただし、夜勤の可否は制度ではなく施設側の運用方針や本人の習熟度によって判断されます。
ただし、夜勤は利用者対応や緊急時の判断、記録業務、職員間の連携などが求められるため、配属直後から任せるのではなく、一定の業務理解や日本語でのコミュニケーションに慣れてから配置するケースが一般的です。
介護施設で夜勤を担当してもらう場合は、日勤業務での習熟度や利用者との関係性、緊急時の対応力を確認しながら、段階的に勤務を任せることが重要です。
特定技能「介護」の取得条件
外国人が特定技能「介護」を取得するには、原則として次の要件を満たす必要があります。
取得に必要な試験
- 介護技能評価試験に合格すること
- 介護日本語評価試験に合格すること
- JFT-BasicまたはJLPT N4以上に合格すること
なお、介護分野の技能実習を良好に修了した人など、一部のケースでは試験が免除される場合があります。
これらの要件を満たすことで、特定技能1号「介護」の在留資格取得を申請できます。
特定技能外国人を受け入れる介護施設の主な要件
特定技能外国人を受け入れるためには、外国人本人だけでなく、介護施設側にも一定の要件が求められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令遵守 | 介護保険法や労働関係法令などを遵守していること |
| 報酬水準 | 日本人と同等以上の報酬を支払うこと |
| 雇用契約 | 適正な労働条件を明示した雇用契約を締結すること |
| 支援体制 | 特定技能1号外国人への支援体制を整備すること |
| 法令違反 | 過去に重大な法令違反がないこと |
受け入れ施設の状況によって必要な対応は異なるため、登録支援機関や専門家へ相談しながら準備を進めることが重要です。
技能実習との違い
外国人介護人材の受け入れ制度には複数あります。
特に比較されることが多いのが技能実習制度です。
特定技能と技能実習の違い
| 比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 制度目的 | 人材確保 | 技能移転 |
| 即戦力性 | 高い | 育成が前提 |
| 転職 | 同一分野内で可能 | 原則不可 |
| 日本語能力 | 一定水準以上 | 比較的低い |
| 業務範囲 | 幅広い | 実習計画に基づく |
| 採用対象 | 試験合格者など | 技能実習生 |
介護施設にとっては、現場経験や知識を持つ人材を採用しやすい特定技能制度の人気が高まっています。
技能実習制度は今後「育成就労制度」へ移行予定
技能実習制度は今後、育成就労制度への移行が予定されています。
介護施設が外国人材の採用を検討する際は、特定技能制度とあわせて育成就労制度の動向も把握しておくことが重要です。
受け入れ前に確認しておきたいポイント
- 日本人と同等以上の報酬を支払う必要がある
- 生活支援など法定支援を実施する必要がある
- 転職可能な制度であるため定着支援が重要になる
- 夜勤は本人の習熟度を確認したうえで担当させることが望ましい
- 訪問介護は一定の要件を満たした事業所のみ受け入れが可能
- 日本語教育や受け入れ体制の整備が求められる
- 介護福祉士取得後は在留資格「介護」への移行も視野に入る
制度を正しく理解し、働きやすい環境を整備することが長期雇用につながります。
特定技能「介護」のメリット・デメリット比較
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 一定の介護知識・技能を持つ人材を採用できる | 受け入れ時の各種手続きが必要 |
| 比較的若い人材を確保しやすい | 日本語教育や業務指導が必要になる場合がある |
| 長期的な人材確保につながる | 文化や生活習慣の違いへの配慮が必要 |
| 職場の活性化につながる | 生活支援や定着支援を継続して行う必要がある |
デメリットの多くは、受け入れ体制の整備や登録支援機関の活用によって軽減できます。
特定技能介護人材が現場で活躍しやすい理由
1. 一定の介護知識や技能を有する人材を採用できる
特定技能外国人は試験に合格しているため、介護に関する基本知識を備えています。
教育期間を短縮できるケースも多く、比較的早く業務に慣れて活躍できることが期待されます。
2. 長期的な人材確保につながる
介護職員不足が深刻化する中、安定した人材確保は経営上の重要課題です。
特定技能制度を活用することで、継続的な採用ルートを構築できます。
3. 比較的若年層の人材を採用できる
特定技能制度では、比較的若年層の人材を採用できるケースがあります。
高齢化が進む介護現場に若い世代が加わることで、職場の活性化や将来的な人材育成につながる場合があります。
4. 職場の活性化が期待できる
外国人スタッフが加わることで職場に新しい価値観が生まれます。
結果として、
- コミュニケーションの活性化
- 教育体制の見直し
- 業務マニュアルの整備
など組織改善につながるケースも少なくありません。
特定技能外国人受け入れの流れ
受け入れの流れ
- 求人募集・人材紹介会社への依頼
- 面接・採用決定
- 雇用契約の締結
- 支援計画の作成
- 在留資格申請
- 入国・就業開始
- 生活支援・定期面談など継続支援
特定技能制度では、受け入れ企業または登録支援機関による支援が義務付けられています。
定着率を高めるポイント
外国人採用は採用後のフォローが非常に重要です。
受け入れに成功している介護施設には共通点があります。
日本語教育を継続する
介護現場では利用者との会話が重要です。
定期的な日本語研修を実施することで業務理解が深まり、離職防止にもつながります。
相談窓口を設置する
外国人スタッフは仕事だけでなく生活面でも不安を抱えています。
- 住居
- 銀行口座
- 病院
- 税金
- 保険
などについて相談できる環境を整えることが重要です。
多文化理解を促進する
外国人だけが日本文化を学ぶのではなく、日本人スタッフも異文化理解を深めることで職場環境が改善されます。
受け入れ成功施設では、お互いの文化や価値観を尊重する風土づくりを行っています。
特定技能外国人を受け入れる際は、どのように人材を採用するかも重要なポイントです。施設の状況に応じて採用方法を選択しましょう。
特定技能「介護」の採用方法
特定技能外国人を採用する方法は、大きく分けて次の3つがあります。
| 採用方法 | 特徴 |
|---|---|
| 登録支援機関・人材紹介会社を利用 | 採用から支援まで一括で依頼しやすく、初めての受け入れに向いている |
| 海外から直接採用 | 海外の送り出し機関などを通じて採用する方法 |
| 国内で働いている特定技能外国人を採用 | 転職希望者を採用できるため、比較的早く就業開始しやすい |
初めて特定技能外国人を受け入れる介護施設では、登録支援機関や人材紹介会社を利用するケースが多く見られます。
介護施設が登録支援機関を活用するメリット
特定技能外国人の受け入れには様々な手続きが発生します。
特に初めて外国人採用を行う施設では、
- 在留資格手続き
- 支援計画作成
- 生活支援
- 定期面談
- 入管対応
などの負担が大きくなります。
そのため、登録支援機関を活用する介護事業者も少なくありません。
登録支援機関に依頼できる主な内容
| 支援内容 | 具体例 |
|---|---|
| 入国支援 | 空港送迎・生活オリエンテーション |
| 住居支援 | 住居探し・契約サポート |
| 行政手続き | 住民登録・年金・保険加入 |
| 日本語学習支援 | 学習機会の提供 |
| 定期面談 | 就労・生活状況の確認 |
| 相談対応 | 仕事・生活の相談窓口 |
登録支援機関へ委託することで、施設側は本来の介護業務に集中しやすくなります。
今後の介護業界における特定技能人材の重要性
今後も日本では高齢化が進み、介護サービス需要は増加し続けます。
その一方で、生産年齢人口は減少していくため、日本人だけで介護人材を確保することはますます困難になるでしょう。
このような状況の中で、特定技能外国人は介護業界を支える重要な存在になっています。
すでに全国の介護施設で多くの外国人スタッフが活躍しており、今後はさらに受け入れが拡大すると予想されています。
特定技能介護でよくある質問
特定技能「介護」の外国人は何年働けますか?
特定技能1号の場合、在留期間は通算5年までです。更新を行いながら働くことができますが、通算期間の上限がある点には注意が必要です。
特定技能「介護」で家族帯同はできますか?
特定技能1号では、原則として家族帯同は認められていません。ただし、将来的に別の在留資格へ移行する場合などは、条件によって扱いが変わる可能性があります。
特定技能「介護」の外国人は転職できますか?
同じ介護分野内であれば、一定の条件のもとで転職は可能です。ただし、在留資格や雇用契約に関わる手続きが必要になるため、転職時には適切な確認が必要です。
特定技能「介護」から介護福祉士を目指せますか?
特定技能「介護」で働きながら実務経験を積み、条件を満たせば介護福祉士国家試験を目指すことも可能です。介護福祉士を取得できれば、在留資格の選択肢が広がる場合があります。
登録支援機関は必ず利用しなければいけませんか?
受け入れ施設が自社で支援体制を整えられる場合は、登録支援機関を利用せずに対応することも可能です。ただし、初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、手続きや支援業務の負担が大きくなるため、登録支援機関の活用を検討する施設も少なくありません。
介護分野の特定技能外国人は訪問介護でも働けますか?
一定の要件を満たした事業所では、制度改正により訪問介護への従事も可能となっています。ただし、受け入れには教育体制や同行支援など追加要件が設けられているため、最新の制度内容を確認することが重要です。
特定技能「介護」の受け入れにはどのくらい費用がかかりますか?
採用方法や利用する登録支援機関、人材紹介会社によって異なります。人材紹介費用や在留資格申請費用、登録支援機関への委託費用などが発生するため、事前に総費用を確認しておくことが重要です。
まとめ
特定技能「介護」は、介護業界の深刻な人材不足を解消する有効な制度として、多くの介護施設で活用が進んでいます。
介護技能評価試験や日本語試験に合格した外国人材を採用できるため、比較的早い段階で介護現場の戦力として活躍してもらえる点が大きな特徴です。
一方で、受け入れには法令遵守や支援体制の整備、日本語教育、定着支援なども欠かせません。
制度を正しく理解し、登録支援機関も活用しながら受け入れ環境を整えることで、外国人材が長く安心して働ける職場づくりにつながります。
今後も介護人材不足は続くことが予想されるため、特定技能制度を活用した採用を早めに検討しておくことが、安定した施設運営への第一歩となるでしょう。
制度改正や受け入れ要件は変更されることもあるため、最新情報を確認しながら適切な採用計画を進めることが重要です。
特定技能「介護」をさらに理解したい方へ
特定技能制度以外にも、育成就労制度との違いや登録支援機関の役割、外国人採用の流れなど、あわせて理解しておきたい制度があります。
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