この記事で分かること
  • 特定技能外国人は夜勤や一人夜勤への従事が法的に認められている
  • まずは先輩職員との夜勤同行を通じて、緊急連絡先や夜間対応の手順を確実に把握させる必要があります
  • ケアコンパスでは、延べ支援人数160名の実績と定期面談を通じて、本人の不安や習熟度に応じた施設ごとの夜勤導入をサポートします

「特定技能外国人に夜勤を任せてもいいのか」と悩む施設も多いと思います。

特定技能外国人は夜勤ができ、一人夜勤も在留資格上は禁止されていません。ただし、すぐに任せるのではなく、順応期間を設けて段階的に慣れてもらうことが大切です。

この記事では、一般社団法人外国人介護留学生支援機構(ケアコンパス)で外国人介護職員の定着支援に取り組む青山が、制度上の扱いと夜勤を任せる前の準備、現場でのつまずきと対処をお伝えします。

特定技能外国人は夜勤ができる?

特定技能外国人は夜勤ができる?

介護分野の特定技能外国人は、対象となる介護サービスであれば夜勤業務に入ることができます。夜勤や交代制勤務について、特定技能だからという理由で特別な制限があるわけではありません。

ただし、夜勤を含む勤務条件については、入職前に本人へ説明し、雇用契約や就業規則の内容について認識をそろえておく必要があります。

なお、デイサービスなどで介護保険外で行われる、いわゆる「お泊まりデイ」の夜間サービスには従事できません。

一人夜勤は認められている?

特定技能だからという理由で、一人夜勤を禁止するルールはありません。

施設やサービスごとの夜間の配置基準を満たし、本人が安全に業務を行えると判断できれば、一人夜勤を任せることも可能です。ただし、制度上できることと、現場で安心して任せられることは別です。

私たちケアコンパスの支援先でも、入職してすぐ一人で夜勤に入ってもらうことはありません。

まずは日勤で利用者や業務を覚え、先輩職員との夜勤同行を重ねながら、緊急時の対応まで確認していきましょう。

就労初日から人員配置基準に算入できる(技能実習との違い)

特定技能外国人は、就労開始時から介護職員として人員配置基準に算入できます。ただし、配置基準に算入できることと、すぐに一人で夜勤を任せられることは同じではありません。

特定技能では、安全に業務を行えるようになるまで、経験のある職員と一緒にケアにあたるなど、順応を支える体制が求められています。

なお、技能実習についても現在は、一定の研修体制や安全管理体制などの要件を満たせば、6か月未満でも配置基準に算入できる場合があります。

夜勤不足を考えるときも、人数だけでなく、本人の習熟度まで見ていく視点が欠かせません。

夜勤を任せる前の順応期間(目安6か月)に施設が整えておく体制とは?

夜勤を任せる前の順応期間(目安6か月)に施設が整えておく体制とは?

夜勤に入る時期は、全員同じではありません。

公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)のQ&Aでは、安全に業務を行えるようになるまで、経験のある職員とチームでケアにあたるなどの体制をとり、その期間は6か月が目安とされています。

ただし、夜勤を始める時期は、本人の経験や日本語力、施設の体制によって変わります。

ケアコンパスの支援先では、介護経験がある人なら入職3か月ほどで夜勤同行を始めることもありますが、6か月から1年ほどかけて準備する施設もあります。大切なのは、何か月たったかだけで判断しないことです。

夜勤デビューまでの現実的なステップ

ケアコンパスの支援先でよく見られる流れは以下の通りです。

  1. 日勤で業務と利用者を覚える
  2. 早番・遅番を経験する
  3. 先輩職員と夜勤に入る
  4. 独り立ちを判断する

夜勤同行は、1か月ほどかけて4〜8回程度行うケースもありますが、回数だけで決めるわけではありません。現場責任者や上長が、本人の様子を見ながら最終的に判断します。

特に確認しておきたいのは、緊急時の連絡先が分かっているか、ナースコールや記録機器を使えるか、利用者ごとの注意点を理解しているかです。

施設ごとに夜勤体制は違うため、本人がどこまで判断する必要があるのかも事前に共有しておくと安心です。

ケアコンパスでも、定期面談の中で本人の不安を確認しながら、夜勤を始める時期について施設と情報を共有しています。

6か月たったから夜勤ではなく、「安心して任せられる状態になったか」で見ることが大切です。

外国人職員が夜勤で直面しやすい3つの壁とは?

外国人職員が夜勤で直面しやすい3つの壁とは?

夜勤では、日中より周囲にいる職員が少ないため、記録や緊急時の対応、生活リズムの変化で戸惑うことがあります。

ただ、これらは外国人職員だけの問題ではありません。日本人職員にも共通する部分が多く、事前に準備しておくことで対応しやすくなります。

夜間の記録・申し送り

夜勤では、利用者の状態や夜間に起きたことを、次の職員へ正確に伝える必要があります。

日常会話ができても、介護記録では専門的な表現が出てくるため、最初は時間がかかることもあります。

記録の書き方をそろえたり、よく使う表現を定型文にしたり、ふりがな付きのマニュアルを用意したりすると本人も迷いにくくなります。

緊急時の対応

支援を通じて特に注意が必要だと感じるのは、緊急時の対応です。

普段経験しない状況では慌てることもあります。救急要請やオンコールへの連絡、ご家族への説明など、日本語で状況をまとめて伝える難しさもあります。

実際に、夜勤中の緊急時に判断に迷い、休みの上長へ連絡して助けてもらったケースがありました。その施設では、緊急時には上長へ連絡できる体制をとっていたため、一人で抱え込まずに対応できました。

緊急時に迷わないことより、迷ったときに誰へ連絡するか分かっていることの方が重要です。

連絡先だけでなく、誰に・どの順番で・何を伝えるかまで決めておくと、慌てたときにも動きやすくなります。電話で伝える内容を普段から確認しておくと、いざというときにも慌てず対応できます。

生活リズムの変化

夜勤に入りたいと希望する外国人介護職員は、少なくありません。

ただ、夜勤が続くと睡眠時間が変わり、「夜勤の回数が多い」「仮眠の時間に眠れない」といった相談を受けたこともあります。

生活リズムの乱れが続くと、疲れや気分の落ち込みが見えにくくなります。本人の様子を見ながら、必要に応じて夜勤回数やシフトについて話し合える環境を整えておくことがポイントです。

夜勤を外国人スタッフに任せるときの労務管理ルール

夜勤を任せるときの労務管理ルール

夜勤を任せる場合も、特定技能外国人だから特別な労働ルールになるわけではありません。

労働基準法では、原則として午後10時から翌午前5時までの労働には、通常の賃金に対して25%以上の深夜割増賃金を支払う必要があります。

また、特定技能外国人の報酬は、同じ業務を行う日本人と同等以上であることが求められています。外国人だからという理由で、夜勤手当を低くすることはできません。

給与だけでなく、夜勤回数や連続勤務、休憩や仮眠がきちんと取れているかも確認しておきたいところです。実際に、夜勤が多いことや休憩・仮眠が取れないことを理由に、転職を考える人もいます。

シフトや勤怠、休憩、緊急時のルールは、やさしい日本語や必要に応じた母国語の資料で分かりやすく伝えておく必要があります。説明しただけで終わらせず、本人が内容を理解できているかまで確認しておきましょう。

まとめ

特定技能外国人は夜勤に入ることができ、一人夜勤も在留資格上は禁止されていません。

ただし、夜勤に入れることと、安心して任せられる状態になることは、同じではありません。

日勤、早番・遅番、夜勤同行と段階を踏み、記録や緊急時の対応まで確認しながら順応期間を設けることが、本人も施設にとっても安心につながります。

夜勤に入れることは、本人にとって「一人前として認めてもらえた」という自信になります。

ケアコンパスでも、本人の習熟度や不安を確認しながら、施設ごとの夜勤導入を支援しています。夜勤を任せる時期や体制に迷う場合は、お気軽にご相談ください。

特定技能「介護」とは

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