この記事で分かること
  • 介護分野で外国人が働ける在留資格はEPA・在留資格「介護」・技能実習(2027年から育成就労)・特定技能1号の4種類
  • 在留期間の上限と長期就労の出口があるかどうかが重要な違い
  • 5年で在留資格が終了しても介護福祉士取得により長期就労が可能になる
  • 人員不足が差し迫っている施設は、試験で技能と日本語水準が担保された特定技能1号をまず確認できます
  • 家族帯同が認められるのは在留資格「介護」とEPA介護福祉士のみ

「特定技能」「技能実習」「EPA」という言葉が求人サイトや同業者の話に出てくるたびに、どれが自施設に合うのか分からず立ち止まっていませんか。

介護分野で外国人が働ける在留資格は、実は4種類に整理できます。

それぞれ制度の目的が異なるため、単純な優劣では比較できません。

この記事では、4制度を同じ物差しで並べたうえで、即戦力採用と長期定着という2つの視点、自施設はどれを検討すべきかを示します。

介護分野で外国人が働ける在留資格は何種類ある?

介護分野で外国人が働ける在留資格は何種類ある?

介護分野で外国人が就労できる在留資格は以下4種類です。

  • EPA(経済連携協定)
  • 在留資格「介護」
  • 技能実習
  • 特定技能1号

技能実習は2027年から育成就労制度に切り替わりますが、現時点ではこの4つが受け入れの枠組みとなっています。4制度は優劣で並んでいるわけではなく、それぞれ異なる目的で設計されています。

この違いを理解しないまま比較表だけを見ると、誤った軸で判断してしまいます。

まずは4つの名前と役割を押さえたうえで、次のセクションで在留期間や転職の可否といった実務上の違いを見ていきましょう。

介護の在留資格4種は在留期間や転職の可否がどう違う?

介護の在留資格4種は在留期間や転職の可否がどう違う?

4制度を比較するとき、見るべき軸は数多くありますが、採用の意思決定に直結するのは以下2点です。

  • 在留期間の上限があるかどうか
  • 長期就労の出口があるかどうか

上記の2軸を最初に確認することをおすすめします。他の項目は制度の性格を補足する情報として、あとから確認すれば十分でしょう。

以下の表は、出入国在留管理庁および厚生労働省の公表資料にもとづき、4制度を同じ7項目で整理したものです。

項目 EPA(特定活動) 在留資格「介護」 技能実習(2027年〜育成就労) 特定技能1号
制度趣旨 二国間の経済連携強化 専門的・技術的分野の受け入れ 本国への技能移転(育成就労は人材育成・確保) 人手不足対応・即戦力の受け入れ
対象国 インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国 限定なし
在留期間 候補者は原則4年
国家資格取得後は更新回数の制限なし
更新回数の制限なし 最大5年
育成就労は原則3年
通算5年が上限(一定要件で最長6年)
家族帯同 候補者は不可
EPA介護福祉士(資格取得後)は可
基本的に不可
転職・施設変更 候補者は不可
資格取得後は可
原則不可
育成就労は同一業務区分内で条件付き可。介護分野の転籍制限期間は2年
同一分野内で可
支援・監理主体 JICWELS(国際厚生事業団。唯一の受入調整機関) 不要 監理団体(育成就労は監理支援機関) 受入機関または登録支援機関
長期就労 介護福祉士取得で無期限に就労可能 無期限に就労可能 5年で在留資格としては終了 5年で上限に到達(介護分野に特定技能2号はなし)

表のなかでも見落とされやすいのが家族帯同の欄です。家族の帯同が認められるのは在留資格「介護」EPA介護福祉士(国家資格取得後)だけで、特定技能1号と育成就労は原則として認められません。

長期的な定着を考えるうえで、この差は採用計画の初期段階で確認しておく価値があります。特定技能の家族帯同についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

介護分野の在留資格4種はそれぞれ何のための制度?

介護分野の在留資格4種はそれぞれ何のための制度?

ここでは、比較表で示した4制度について、それぞれどのような目的でつくられ、どのような人材が対象になるのかを制度ごとに解説します。それぞれについて以下で解説します。

EPAは二国間協定にもとづく介護福祉士候補者の受け入れ制度

EPA(経済連携協定)は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国との二国間協定にもとづき、介護福祉士候補者を受け入れる制度です。

候補者は母国で看護課程の修了や政府認定の介護士資格などの要件を満たしたうえで来日し、受入施設で原則4年間就労しながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。

他の3制度と異なるのは、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が日本で唯一の受入調整機関である点です。

施設は候補者を直接募集できず、JICWELSを通じた求人登録と選考を経る必要があり、この公的な枠組みがEPAを手続きが大変と感じさせる背景にあります。

国家試験に合格すると特定活動(EPA介護福祉士)に区分が変わり、在留期間の更新回数の制限がなくなり、家族帯同や施設変更も可能になります。

在留資格「介護」は介護福祉士の資格を持つ人のための就労資格

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が対象の就労資格です。資格を得るには以下の2通りのルートがあります。

  • 養成施設を卒業して資格を得る
  • 実務経験を積んだうえで国家試験に合格する

この在留資格の最大の特徴は、在留期間の更新回数に制限がなく、家族帯同も可能という点です。4制度のなかでこの在留資格を長期就労の出口と位置づける考え方が主流です。

特定技能1号やEPA候補者、技能実習・育成就労のいずれから入っても、介護福祉士の資格を取得すればこの在留資格に切り替えられる道が用意されているためです。

技能実習は2027年から育成就労制度に切り替わる

技能実習は、本国への技能移転を目的とした制度で、日本で得た技能を出身国に持ち帰ってもらうことが本来の趣旨です。

人手不足への対応を目的とした制度ではないため、実習生にも日本人と同等以上の報酬水準が求められ、加えて監理団体への監理費、日本語教育、生活支援などの付随コストが発生します。

技能実習なら人件費を安く抑えられるという理解は、この制度趣旨とは噛み合いません。

関連記事:「外国人介護人材の採用は本当にコスト削減になる?派遣・人材紹介と比べたコストを解説!

なお、2024年6月に成立した改正法にもとづき、技能実習制度は2027年から育成就労制度に切り替わります。

施行時点で在籍中の技能実習生は、技能実習計画の満了まで継続して受け入れられるため、今すぐ切替対応が必要になるわけではありません。

一方で、施設側が押さえておくべき変化は転籍ルールです。技能実習では転籍が実質的に制限されていたのに対し、育成就労では同一機関での就労が一定期間(介護分野では2年)を超えると、本人の意向による転籍が認められるようになります。

「技能実習なら定着してもらいやすい」という前提は、育成就労には当てはまりません。

特定技能1号は人手不足に対応するための即戦力受け入れ資格

特定技能1号は、深刻な人手不足に対応するために創設された在留資格で、介護分野では2019年4月から運用が始まりました。

入国前に介護技能評価試験介護日本語評価試験の両方に合格していることが原則求められ、入職時点で一定の介護技術と日本語力が確認された状態で就労を開始します。

在留期間は通算5年が上限で、家族帯同は基本的に認められません。

介護分野には特定技能2号が設けられておらず、その理由は在留資格「介護」がすでに長期就労のための受け皿として機能しているためです。

2025年11月末時点の在留者数は約65,505人と、4制度のなかで最も多くの外国人材が就労しています。

介護施設が最初に検討すべき在留資格はどれ?

介護施設が最初に検討すべき在留資格はどれ?

4制度の違いを踏まえたうえで、実際にどの在留資格から検討を始めるべきかを整理します。ここでは即戦力の確保と長期定着という2つの観点から、本サイトの基本的な考え方を解説します。

今すぐ現場に入れる人材が必要なら特定技能1号が第一候補になる

人員不足が差し迫っている施設にとって、特定技能1号がもっとも現実的な第一候補になるでしょう。入職時点で技能と日本語力が試験によって担保されているかどうかが重要だからです。

EPAは公的な枠組みを経るため受け入れまでに時間がかかり、育成就労は入職後に育てることを前提とした制度です。

これに対して特定技能1号は、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に合格した人材を対象としているため、即戦力性という軸では他の3制度より明確に優位です。

ただし、この軸で優位というだけであり、施設の状況によっては別の制度が適することもあります。

5年を超えて働いてもらう出口は介護福祉士取得と在留資格「介護」

外国人職員は5年で必ず帰国するというのは誤解です。5年という上限は特定技能1号に限った話で、介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」に切り替わり、在留期間の上限そのものがなくなります。

EPA候補者や技能実習・育成就労を経て入職した人材も同様で、いずれのルートからでも同じ出口にたどり着けます。

つまり、採用の時点でこの先どう資格を取ってもらうかまで見据えておくかどうかが、5年後の定着を分けるということです。

学習支援や生活支援の体制は施設単独で抱え込まず、受け入れの初期段階から支援先と一緒に設計しておくことが望ましいと言えます。

まとめ

介護分野で外国人が働ける在留資格は、EPA・在留資格「介護」・技能実習(2027年から育成就労)・特定技能1号の4種類です。

まずは特定技能1号を軸に即戦力の確保を検討し、介護福祉士取得による在留資格「介護」への移行という出口まで採用計画に組み込むことをおすすめします。

一般社団法人外国人介護留学生支援機構が運営するケアコンパスでは、在留資格「介護」・特定技能・介護留学生を対象に、採用から介護福祉士取得までの定着支援を行っています。

直近1年の採用成功率は85.3%、1年後の定着率は93.6%です。外国人採用が初めての方は、無料相談から検討してみてください。