特定技能の受入れ機関にはどんな義務がある?委託しても施設に残る基準と責任を解説
| この記事で分かること |
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登録支援機関の変更を検討している介護施設の事務長から、「委託しているのに、施設が指導を受けたのですが」というご相談をいただくことがあります。
特定技能の受入れ機関には、雇用契約や欠格事由など受け入れ前に満たす5つの基準と、届出や支援の実施など受け入れ後に守り続ける6つの義務があります。
この記事では、2025年4月・2027年4月の制度改正をもとに以下をご説明します。
- 基準と義務の全体像
- 委託後も施設に残る手続き
- 介護分野特有の人数枠や協議会加入の要件
委託中の施設も、これから受け入れを検討する施設も、まずは全体像を一覧で確認しておくことをおすすめします。
登録支援機関に委託すれば特定技能の受入れ機関の義務はなくなる?

登録支援機関に支援を委託しても、受入れ機関としての基準適合と義務の最終責任はなくなりません。
以下では、委託の範囲によって基準の扱いがどう変わるか、委託後も施設が自ら行う手続き、委託先の支援状況を確認する方法の順に解説します。
特定技能所属機関と登録支援機関の役割の違い
特定技能所属機関は外国人と雇用契約を結ぶ当事者であり、基準適合の義務も行政処分の対象も施設自身に及びます。登録支援機関は、受入れ機関との支援委託契約に基づいて支援業務を代行する立場で、雇用契約の当事者にはなりません。
| 比較の軸 | 特定技能所属機関(受入れ機関) | 登録支援機関 |
|---|---|---|
| 雇用契約の当事者 | 該当する | 該当しない |
| 基準適合の対象 | 常に対象 | 登録要件のみ対象 |
| 行政処分の対象 | 指導・改善命令・受入れ停止 | 指導・登録の取消し |
| 届出の主体 | 随時届出・定期届出 | 登録事項変更の届出等・定期届出 |
登録支援機関になるには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録の有効期間は5年間で更新が可能ですが、登録の際には登録拒否事由に該当しないことが審査されます。
受入れ機関にはこうした登録の仕組みはなく、基準を満たしているかどうかは在留諸申請のたびに個別に審査される点が異なります。
登録支援機関は、受け入れ後に必要となる支援の実施を専門に担う組織です。
全部委託と一部委託で支援体制基準の扱いが変わる理由
受入れ機関が支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合、外国人を支援する体制があるものとみなされ、受入れ機関自身が基準を個別に満たす必要はなくなります。
一方、支援の一部だけを委託する場合は、このみなし規定が働きません。この場合、受入れ機関自身が、支援責任者・支援担当者の選任や母国語での対応体制を満たしている必要があります。
一部委託を選ぶ場合は、委託する業務の範囲を支援計画に明示しなければなりません。範囲があいまいなまま契約すると、どちらが特定の支援を担うのかが不明確になり、支援の抜け漏れにつながります。
費用を抑えるために一部委託を選ぶ施設は、自社で満たすべき基準を先に点検しておくと安心です。
関連記事:「介護施設が登録支援機関を利用するメリットは?自社支援との違いを法令・工数・費用で比較!」
登録支援機関に全部委託しても受入れ機関が自ら行う手続きと判断

全部委託は支援体制の基準をみなし適合にするだけで、施設のすべての手続きを肩代わりする制度ではありません。以下については、委託の有無にかかわらず受入れ機関自身が行います。
- 支援計画の作成と申請書類への添付
- 随時届出のうち施設側の事由に関するもの
- 地方公共団体への協力確認書の提出
- 雇用契約の履行と報酬の支払い
- 欠格事由に該当しない状態の維持
- 協議会への加入と協力
定期届出については、支援計画の全部を委託した場合に限り、受入れ機関と登録支援機関が連名で提出します。連名であっても、受入れ状況や活動状況の実態を把握しているのは施設自身であるという点は変わりません。
ケアコンパスでは、こうした施設側に残る手続きの準備や記録の整理を支援業務とあわせてサポートしています。
委託先の支援が実施されているかを受入れ機関が確認する方法
委託後に施設が確認すべき軸は、主に以下3つです。
- 支援責任者または支援担当者による定期的な面談が記録とともに実施されているか
- 相談や苦情への対応内容が施設側にきちんと共有されているか
- 支援担当者の体制が委託先の受入れ件数に見合っているか
定期的な面談は、支援責任者等が外国人及びその監督者と3か月に1回以上行うことが基準として定められています。登録支援機関が全部委託を受けている場合、支援の実施が困難になったときや支援の中で受入れ機関の基準不適合を把握したときは、登録支援機関から出入国在留管理庁へ報告する仕組みもあります。
私が支援体制の見直し相談で最初に伺うのは、直近3か月の面談記録を施設側で確認できるかどうかです。確認できない状態が続いている場合は、委託先との情報共有の頻度を見直すきっかけになります。
支援が形だけになっていないかの確認は職員の定着にも直結します。
関連記事:「外国人介護職員が辞める施設・定着する施設の違いとは?見落とされがちな離職原因を解説」
施設の中で誰が委託先との窓口になり、現場の相談をどう集めて共有するかは、外国人介護職員の受入れ体制を整えるポイントで解説しています。
特定技能の受入れ機関が受け入れ前に満たす5つの基準とは?

受入れ機関が受け入れ前に満たす基準は、大きく以下5つの区分に分かれます。
- 特定技能雇用契約が満たすべき基準と同等報酬
- 受入れ機関自体が満たすべき法令遵守と欠格事由の基準
- 保証金や違約金など外国人に不当な負担をさせないための基準
- 支援体制と支援計画の基準
- 介護分野の受入れ機関だけに上乗せされる人数枠と事業所の基準
以下で1つずつ確認します。
特定技能雇用契約が満たすべき基準と同等報酬の考え方
特定技能外国人と結ぶ雇用契約には、いくつかの基準があり、特に重要なのは以下です。
- 所定労働時間が同じ施設で働く日本人労働者と同等
- 報酬額が日本人が従事する場合と同等以上
- 国籍を理由に報酬や教育訓練、福利厚生で差別的な扱いをしない
一時帰国を希望した場合には休暇を取得させ、帰国旅費を本人が負担できないときは施設が負担したうえで契約終了後の出国が円滑に進むよう措置を講じる必要があります。
介護分野では、労働者派遣の対象とすることが認められていません。雇用契約は、分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであることも基準の一つです。
受入れ機関自体が満たすべき法令遵守と欠格事由の基準
受入れ機関自体が満たすべき基準の中心は、法令遵守と欠格事由への非該当です。労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、5年以内に出入国や労働に関する法令違反がないことなどの欠格事由に該当しないことが求められます。
欠格事由には、出入国や労働関係法令に関する項目のほか、暴力団関係者に該当しないことなども含まれており、役員を含めた確認が必要です。報酬を預貯金口座への振込等で支払うことも、この区分の基準です。
保証金や違約金など外国人に不当な負担をさせないための基準
受入れ機関には、外国人に不当な負担をかけないための以下の基準も課されています。
- 外国人が保証金を徴収されていることを認識しながら雇用契約を締結していない
- 施設自身が違約金を定める契約を結んでいない
- 支援に要する費用を、直接または間接に外国人へ負担させない
保証金や違約金は、主に海外の送出機関との関係で問題になりやすい論点です。採用ルートを決める段階から、この基準を意識しておく必要があります。
自社で支援する場合に受入れ機関が満たす支援体制と支援計画の基準
登録支援機関に全部委託しない場合、受入れ機関自身が支援体制の以下基準を満たす必要があります。
- 過去2年間の中長期在留者の受け入れ・管理実績など、法令で定めるいずれかの要件を満たしている
- 役職員の中から支援責任者と支援担当者を選任している
- 外国人が十分理解できる言語で支援を実施できる体制
- 支援状況に係る文書を雇用契約終了日から1年以上備え置く
- 支援責任者等が定期的な面談を実施できる体制
自社で支援体制の基準を満たすことが難しい施設は、登録支援機関への委託を検討することになります。2027年4月1日以降は、支援責任者等を事業所ごとに常勤の役職員から選任することなど支援体制の要件が改正される予定です。
ケアコンパスでは、介護特化の知見と海外採用・国内人材紹介の両方の対応力を活かし、自社支援が難しい施設の支援体制づくりを支えています。
介護分野の受入れ機関だけに上乗せされる人数枠と事業所の基準
介護分野の受入れ機関には、他分野にはない上乗せ基準があります。1号特定技能外国人の人数は、受け入れる事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えてはならないという人数枠です。
この人数枠は法人単位ではなく事業所単位で判定されます。事業所の再編や人員配置の見直しを予定している場合は、配置転換の前に人数枠を再計算しておくことをおすすめします。
訪問系サービスに利用者の居宅で従事させる場合は、さらに追加の要件も課されます。
特定技能の受入れ機関が受け入れ後に守り続ける6つの義務とは?

受け入れ後、受入れ機関には6つの義務が継続的に課されます。
| 義務 | 委託できるか |
|---|---|
| 基準を満たし続ける義務 | 施設に残る |
| 雇用契約を履行する義務 | 施設に残る |
| 支援を実施する義務 | 実施は委託可 実施義務そのものは施設に残る |
| 各種届出の義務 | 定期届出は連名 随時届出の多くは施設に残る |
| 文書の備え置き義務 | 支援状況は委託先 活動内容は施設に残る |
| 協議会・共生施策への協力義務 | 施設に残る |
以下で1つずつ確認します。
受け入れ前の基準を雇用期間中も満たし続ける義務
受入れ機関は、受け入れ前に満たした基準を雇用期間中も維持する義務を負います。税金や社会保険料の滞納、同種業務の労働者の非自発的離職などは、基準不適合として随時届出の対象になっています。
基準不適合が生じた場合は、施設自身が出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。基準は採用時の一度きりの審査項目ではなく、在留期間の更新時にも確認される継続条件です。
更新時に必要な準備については、在留資格更新を扱う記事で個別に解説しています。日々の運営状況を記録しておくことが、この義務を果たす土台になります。
特定技能雇用契約の内容どおりに報酬と待遇を守る義務
受入れ機関は、外国人と結んだ特定技能雇用契約を確実に履行する義務を負います。契約どおりの報酬を支払い、日本人職員との均衡を保った昇給や手当の運用を続けることが求められます。
契約内容に変更があった場合は随時届出が必要です。
介護施設では、処遇改善加算の配分ルールと特定技能外国人の報酬水準の整合性を確認しておくことが実務上の論点になります日頃の給与計算の正確さが、そのまま義務の履行につながります。
1号特定技能外国人への支援を実施または委託する義務
受入れ機関は、1号特定技能外国人に対する支援計画に基づく支援を実施する義務を負います。この支援は自社で行うことも、登録支援機関へ全部または一部を委託することもできます。
支援計画には、省令で定められた10項目の義務的支援を記載する必要があります。
支援計画に義務的支援以外の任意的支援を記載した場合は、その内容についても実施する義務が生じます。支援義務そのものは施設にあり、委託は実施方法の選択にすぎないという点を押さえておくことが大切です。
ケアコンパスでは、採用決定までの費用は無料、支援業務費用は月額3万円という料金体系で、海外採用と国内在住人材の紹介の両方に対応し、入職後の定着支援まで一貫して担っています。
出入国在留管理庁への定期届出と随時届出の義務
受入れ機関には、定期届出と随時届出という2種類の届出義務があります。定期届出は、対象年の4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況について、翌年4月1日から5月31日までに提出します。
支援計画の全部を登録支援機関に委託している場合は、受入れ機関と登録支援機関が連名で提出します。随時届出は、雇用契約の変更や終了、支援委託契約の締結・変更・終了、基準不適合の発生などが対象です。。
関連記事:「特定技能の定期届出と随時届出とは?年1回への変更点と怠った場合の影響をわかりやすく解説」
活動内容と支援状況の文書を1年以上備え置く義務
受入れ機関には、特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置く義務があります。支援を自社で実施している場合は、支援状況に係る文書も同様に備え置く必要があります。
これらの文書は、出入国在留管理庁による実地調査の際に確認される記録です。
備え置く文書には、活動日数や業務内容、報酬の支払状況、相談内容とその対応結果などが含まれます。これらは、定期届出で報告する内容の基礎にもなります。
日々の勤怠や相談対応を都度記録しておく習慣が、届出と調査対応の両方を支える土台になります。
介護分野の協議会と自治体の共生施策に協力する義務
介護分野で外国人を受け入れる施設は、介護分野における特定技能・育成就労協議会(2026年8月に「介護分野における特定技能協議会」から名称変更)の構成員となり、受入事業所情報が登録された入会証明書の発行を受ける必要があります。
加入後も、協議会が協議して定めた事項への対応や、厚生労働大臣が行う調査への協力を続ける義務があります。
あわせて、地方公共団体から共生社会の実現に向けた施策への協力を求められた場合は、必要な協力をすることも基準・義務の一部です。
特定技能の受入れ機関が基準を満たさなくなったらどうなる?

基準不適合が把握されると、出入国在留管理庁はまず報告徴収や立入検査を行い、法令違反があれば指導・助言を行います。
指導後にも未改善が続く場合や違反が重大・悪質な場合は、改善命令や欠格事由への該当という段階に進みます。
欠格事由に該当すると、新たな受け入れができなくなるほか、既に受け入れている外国人材への対応にも影響が及びます。
以下で、基準不適合が起きやすい場面と、指導から先の流れを確認します。
介護施設が基準不適合になりやすい3つの場面
介護施設の運営では、基準不適合に気づかないまま抵触してしまう場面が3つあります。
- 税金や社会保険料の納付が遅れた
- 人員整理や退職勧奨によって同種業務の労働者を非自発的に離職させてしまった
- 事業所の再編で介護職員の人数と特定技能外国人の人数の割合が崩れた
人事や経理の判断が、意図せず基準不適合につながることがあります。現場では、事業所の再編で人数枠の計算が漏れていたケースを見てきました。
欠格事由は5年以内の状況を対象とするため、一度の事案がその後数年にわたり評価に影響する点にも注意が必要です。ケアコンパスでは、日常の支援業務の中で施設の状況変化に気づいた際は早めに共有するよう努めています。
まとめ
特定技能の受入れ機関には、受け入れ前に満たす5つの基準と、受け入れ後に守り続ける6つの義務があります。
登録支援機関への委託で満たされるのは支援体制の基準だけであり、支援計画の作成や随時届出、協議会への協力など、施設自身が担う手続きは委託後も残ります。
基準と義務を一覧で確認し、抜け漏れがないか、まずは自施設で改めて整理してみることをおすすめします。
すでに委託中の施設は支援の実施状況を確認する体制を、これから受け入れを検討する施設は自社の基準適合を、それぞれ次の一歩としてください。
現在の支援体制を見直したい方も、初めての受け入れを検討している方も、介護特化の登録支援機関としてケアコンパスにご相談いただけます。
よくある質問
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特定技能所属機関とは何ですか?
特定技能の在留資格で働く外国人と直接雇用契約を結ぶ企業や施設のことです。受入れ機関とも呼ばれ、届出や基準適合の義務を負う当事者になります。
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受入れ機関が受け入れ前に満たす基準にはどのようなものがありますか?
雇用契約の基準、受入れ機関自体の基準、外国人への不当な負担を禁じる基準、支援体制と支援計画の基準、介護分野の上乗せ基準の5区分があります。
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受入れ機関が受け入れ後に守り続ける義務にはどのようなものがありますか?
基準を満たし続ける義務、雇用契約の履行、支援の実施、定期・随時の届出、文書の備え置き、協議会等への協力の6つが柱です。
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登録支援機関を選ぶときは、どのような点を確認すればよいですか?
委託の範囲が支援計画に明記されているか、定期的な面談の記録を施設側で確認できるか、支援担当者の体制が受入れ件数に見合っているかを確認することをおすすめします。ケアコンパスでは、介護特化の知見をもとにこうした体制づくりをサポートしています。






