外国人介護職員が辞める施設・定着する施設の違いとは?見落とされがちな離職原因を解説
| この記事で分かること |
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「給与も職場の雰囲気も悪くないはずなのに、なぜ辞めてしまうのか」。
外国人介護職員の離職理由は、待遇・人間関係・生活・キャリアの4つに整理できます。
さらに、こうした悩みを早く拾える支援の仕組みが機能しているかどうかも、定着を考えるうえで見逃せません。
この記事では、離職理由の全体像、定着する施設との違い、見落とされやすい原因や兆候を、一般社団法人外国人介護留学生支援機構(ケアコンパス)で外国人介護職員の定着支援に取り組む青山が、実際の支援経験を交えてお伝えします。
外国人介護職員の主な離職理由は?

外国人介護職員の離職理由は、待遇・人間関係・生活・キャリアの4つに整理できます。
待遇と人間関係は職場の中、生活とキャリアは職場の外と分けて考えると、原因と対策が見えやすくなります。
日本人職員と共通する悩みも多くありますが、外国人介護職員の場合は言葉や生活環境の違いによる原因が重なるケースも多く見られます。
職場の中で生まれる待遇・人間関係に関する離職理由
実際の相談で多いのは、私たちの多くと全く変わらず給与や手当、人間関係の悩みです。
たとえば、入職前に聞いていた住宅手当と実際の金額が違ったり、昇給の見通しが分からなかったりすると不信感につながります。
人間関係では、Aさんに教わった方法で仕事をしたのにBさんから「違う」と注意され、戸惑うケースもよく聞きます。
本人からすると教わった通りにしているのに…と思ってしまいます。
こうした悩みは日本人職員にも共通しますが、外国人介護職員 の場合は言葉の違いもあるため、より丁寧に伝わり方、受け取られ方を確認することが大切です。
職場の外で生まれる生活の不安・キャリアの不安も離職理由
仕事に大きな不満がなくても、職場の外に退職理由があることもあります。
ケアコンパスで支援させていただいた施設で伺った話では、家族の不幸や結婚などを理由にスタッフが突然母国へ帰ったケースもありました。。こうした事情は施設から見えにくく、突然の退職のように映ることもあります。
また、将来の給与やキャリアへの不安から転職を考える人もいます。
介護労働安定センターの令和5年度「介護労働実態調査」でも、介護の仕事を辞めた理由として「自分の将来の見込みが立たなかったため」が13.2%となっています。
(出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」)
外国人介護職員の場合も、「介護福祉士を取った後に給与や働き方がどう変わるのか」の見通しが持てないと、より条件の良い施設へ気持ちが動くことがあります。
普段から、仕事だけでなく将来の希望まで話せる関係をつくっておくことが大切です。
外国人介護職員が定着する施設に共通する3つの違い

定着している施設は、特別な制度を設けているとは限りません。
- 相談できること
- 生活が安定していること
- 将来が見えること。
こうした基本的な仕組みが、日々の中で無理なく続いている施設ほど、定着につながっていると感じます。
困りごとが早く見つかる面談と相談の仕組みがある
離職を防ぐには、退職の申し出が出る前に悩みを拾える関係をつくることが大切です。
入職直後は仕事を覚えることに精一杯で、少し慣れてから問題が見えてくることもあります。
私たちが支援させていただいて、外国人スタッフが定着している施設では、定期的な1on1を行い、相談先を分かりやすく一本化し、普段の表情や会話の変化といった小さなサインにも目を配っています。
それに加えて、趣味や休みの日の話など、仕事以外の会話も自然に生まれています。
普段から話せる関係があると、本人も悩みを言い出しやすくなります。
関連記事:「外国人スタッフとの面談で何を話す?質問例と「大丈夫です」で終わらせない工夫」
住居・手続き・日本語といった生活の土台が安定している
生活面の支援が機能していることも定着につながります。
私たちの支援先では、支援担当者が普段から連絡を取り、困ったことを早めに相談できる関係をつくっています。そのため、住居や手続き、生活上の不安が大きな退職理由になるケースは比較的少ない印象です。
特定技能1号では、こうした生活支援も義務的支援の一つです。
日本語についても、双方が「伝わらない」と諦めないことが大切です。一度にすべて理解してもらおうとせず、短い言葉や具体例を使いながら理解を確認していきましょう。
キャリアの見通しを示している
外国人介護職員も、日本人職員と同じように自分の将来を考えながら働いています。
介護福祉士を取得した後に給与や役割がどう変わるのか、在留資格「介護」へ進む道があるのか。こうした見通しがないと、より条件の良い施設への転職を考えることもあります。
「資格を取っても思ったほど給与が上がらない」と感じ、より条件の良い法人への転職を考える職員もいます。
一方で、「ここは居心地がいいから長く働きたい」と話す人もいます。
大切なのは、資格取得後の待遇や働き方まで早めに具体的に伝えておくことです。
見落とされがちな支援の機能不全による離職とは?

待遇・人間関係・生活・キャリアとは別に、もう一つ確認したいのが、本人の困りごとを拾う支援が機能しているかという点です。
面談や相談の仕組みがあっても本音が届いていなければ、施設には突然の退職に見えることがあります。
支援が書類の上だけになっているとき職場で何が起きる?
面談や生活支援が形だけになっていると、本人の悩みが誰にも届かないまま積み重なり、施設からは「突然辞めた」ように見えることがあります。
私も、仕事の教え方について半年ほど悩んでいた外国人介護職員から面談で相談を受けたことがあります。
話をよく聞いてみると、職員によって教え方が違い、本人が戸惑っていることが分かりました。
このケースでは、本人が施設と直接話すことに不安を感じていたため、無理に三者面談にはせず、私たちから採用担当者へ状況を伝えました。
その後、現場責任者にも入ってもらい、基本となる仕事のやり方をそろえるようにしようということになりました。
現場が改善したことで、本人は退職せず、そのまま勤務を続けています。
このケースでは、実際に「生きる」面談をしていたからこそ、退職前に悩みを拾うことができました。
面談を行うことだけで終わらせず、本人の困りごとがきちんと届いているかまで見ていくことが大切だと感じています。
委託していても支援の実施状況の確認は施設の責任
特定技能1号の支援は登録支援機関へ委託できますが、委託した場合でも、受入れ機関としての責任がなくなるわけではありません。
施設側でも、面談記録や支援実施の報告を確認し、「最近どんな相談があったか」「仕事や生活で困っていることはないか」を把握しておくと安心です。
こうした確認を習慣にすることが、離職の兆候を早く見つけることにもつながります。
ケアコンパスでは、面談や日々の支援で把握した内容を、必要に応じて施設と共有しています。支援の実施状況が見えることで、施設側でも早めに対応を考えやすくなります。
離職の兆候に気づくためのチェックポイント

離職前に必ず分かりやすいサインが出るわけではありません。
そのため、決まった兆候を探すより、普段との小さな違いを見ることが大切です。
- 欠勤・遅刻・残業を避けることが増えた
- 表情やあいさつ、食事量が変わった
- 同僚や同郷の仲間との会話が減った
- 転職や他施設の待遇について話すことが増えた
- 面談で何を聞いても「大丈夫です」と答えるようになった
実際に、「最近、表情が暗いけれど大丈夫でしょうか」と施設から相談をいただくこともあります。
また、SNSや同郷のつながりから、ほかの施設の求人や待遇の情報が入ることもあります。転職情報に触れる機会は常にある、という前提で見ておくとよいでしょう。
兆候を探すこと以上に大切なのは、普段から話せる関係です。仕事の相談をしてもらうために仕事の話ばかりする必要はありません。
いつもと少し違うと感じたときに、一言声をかけるだけでも本人の安心につながります。
関連記事:「外国人職員が相談しやすい環境をつくるには?相談されない3つの原因と仕組みのつくり方」
離職の連鎖が止まった介護施設が実際に変えたこととは?

以前、離職が続いていたある施設では、面談の仕組みと生活支援、キャリアの話し合いを一つずつ整えたことで外国人介護職員が定着するようになりました。
同じ法人でも、病棟やフロアによって雰囲気や教え方が違うことがあり、環境の整った病棟へ異動したことで、そのまま勤務を続けられた職員もいました。
私たちが見ていて改善が続きやすいと感じるのは、責任者自身が現場に入り、職員と話し、その後どうなったかまで確認している施設です。
後戻りしてしまわない仕組みづくり
「現場で対応しておいて」と伝えるだけでは、時間がたつと元に戻ってしまうこともあります。実際に、一度は職場環境が改善したものの、しばらくすると元の状態に戻り、最終的に退職につながったケースもよく耳にします。
改善策を伝えることと、現場が変わることは同じではありません。大切なのは、その変化が続いているかまで見ることです。
特別なことを始める必要はありません。以下のように仕組みを少しずつ整えることが定着につながります。
- 仕事の進め方をそろえる
- 相談内容を現場まで届ける
- 改善後も確認する
まとめ
外国人介護職員の離職原因は、職場の中・職場の外・支援の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
職場の中では待遇や人間関係、職場の外では生活やキャリアが影響します。さらに、本人の悩みを早く拾い、現場の改善につなげる支援が機能しているかも大切です。
外国人だからと特別な制度を作る必要はなく、日本人スタッフと同じように、相談しやすい環境をつくり、必要な配慮を少し加えていくことが定着につながります。
定着は、こうした小さな仕組みを一つずつ整えていくことで実現できます。
私たちケアコンパスでも、施設ごとの状況に合わせた受入れ・定着支援を行っています。
「離職の原因が分からない」「今の支援体制を見直したい」という場合は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
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外国人介護職員が離職する主な理由には、どのようなものがありますか?
給与や住宅手当など待遇面の不満、教え方の違いによる人間関係の戸惑いといった職場内の要因と、家族の事情や将来のキャリアへの不安といった職場外の要因の2つに大きく分けられます。両方の視点で原因を切り分けて考えることが大切です。
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外国人介護職員が長く定着している施設には、どんな共通点がありますか?
困りごとを早めに拾える面談・相談の仕組み、住居や日本語といった生活面の安定、資格取得後のキャリアや待遇の見通しを具体的に伝えていることの3点が共通しています。特別な制度がなくても、これらが日常的に機能している施設ほど定着しやすい傾向があります。
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面談や生活支援を行っていても、離職が起きてしまうのはなぜですか?
面談や支援の仕組みがあっても、本人の本音が届かないまま形だけになっていると、施設側からは「突然辞めた」ように見えることがあります。委託していても受入れ機関としての責任はなくならないため、支援の実施状況を定期的に確認することが重要です。
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今委託している登録支援機関を変更することはできますか?
登録支援機関は途中で変更することが可能で、一般的に切替には2週間〜1か月程度かかるとされています(詳細な手続きは個別に確認が必要です)。ケアコンパスでも変更・引継ぎに対応しており、離職が続く原因の整理から一緒に取り組んでいます。
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離職を防ぐために、施設側は支援機関にどこまで確認すればよいでしょうか?
特定技能1号の支援を委託していても、受入れ機関としての責任がなくなるわけではないため、面談記録や支援の実施状況を定期的に確認しておくことが安心です。ケアコンパスでは、面談や日々の支援で把握した内容を必要に応じて施設と共有し、離職の兆候を早期に発見できるようにしています。






