この記事で分かること
  • 登録支援機関は全国で11,684件(2026年10月15日現在)あり、登録の有無だけでは委託先の良し悪しは判断できません
  • 委託先同士を比べる軸は、支援の範囲、担当の体制、相談の言語、費用の総額、届出と引継ぎへの関わり方の5つです
  • 見積書を横に並べるときは月額だけでなく、初期費用・紹介料・別料金の項目を含めた年額で比べます
  • 介護施設では、夜勤を含むシフトの中で3か月に1回以上の定期面談をどう組むかが、委託先の実力の分かれ目になります
  • そのまま使える質問例つきの比較表と、契約前のチェックリストを掲載しています

登録支援機関の候補を2〜3社に絞り、見積書を並べたところ、月額の欄だけでは違いが分からない。説明はどこも「義務的支援10項目すべてに対応」「母国語で相談できます」と同じで、何を基準に決めればよいのか見えてこない。委託先を選ぶ段階の施設から、よく出てくる悩みです。

結論から申し上げると、委託先同士の差は、パンフレットに書かれる「対応できること」ではなく、「誰が、どの頻度で、どこまでやるか」に表れます。そして、その差は契約前の質問でかなりの部分を確かめられます。

この記事では、大阪で介護分野に特化した登録支援機関として外国人材の採用と定着を支援してきたケアコンパスが、委託先を比べる5つの軸と、契約前にそのまま使える比較表・チェックリストをまとめます。委託するか自社で支援するかを迷っている段階の方は、先に「登録支援機関を利用するメリットと自社支援との比較」をご覧ください。

登録支援機関はどれくらいあり、どこで差が出る?

登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関で、登録簿に掲載されている件数は2026年10月15日現在で11,684件です。登録簿には、登録後に抹消された機関は掲載されていません。

数の多さに比べて、実際に支援を行っている機関は限られます。国の有識者会議の資料では、令和5年4月末時点の登録支援機関8,137機関のうち、受入れ機関と支援委託契約を結んでいたのは4,069機関、登録されている機関の50%でした。登録はしていても、支援の実績を積んでいない機関が半数あった計算です。

同じ資料では、制度の施行後4年間で登録を取り消された登録支援機関は14機関とされ、取消しの上位の事由には「保証金契約等、支援業務の不履行」も挙がっています。

登録を受けるための基準は「機関自体が適切であること」と「外国人を支援する体制があること」の2つで、介護分野に限ったものではありません。登録は5年間有効で、更新を受けなければ効力を失います。つまり、登録の有無が保証しているのは「最低限の要件を満たしている」ことまでで、介護の現場を理解しているか、担当者に余力があるかまでは分かりません。比較で見るべきなのは、その先です。

委託先同士を比べるときの5つの軸とは?

委託先の比較は、次の5つの軸で整理すると、見積書や説明の違いが読み取りやすくなります。

  • 支援の範囲(義務的支援と任意的支援のどこまでが料金に含まれるか)
  • 担当の体制(担当者1人が何機関・何人を受け持っているか)
  • 相談の言語(本人が十分に理解できる言語で、いつ相談できるか)
  • 費用の総額(月額以外にかかる費用を含めた年額)
  • 届出と引継ぎ(施設が出す届出の資料をどこまで準備するか)

それぞれについて以下で解説します。

支援の範囲は「10項目に対応」の中身まで確かめる

支援の全部を委託すると、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。そのため、どの委託先も義務的支援10項目すべてに対応するのが前提です。

差が出るのは、各項目のやり方です。たとえば公的手続への同行を「書類の書き方を伝える」で済ませるのか、窓口まで同行するのか。生活オリエンテーションを何時間、どの言語で行うのか。定期面談を対面で行うのか。いずれも1号特定技能外国人支援計画書に書かれる内容なので、契約前に支援計画書の案を見せてもらうのが最も確実な確かめ方です。

日本語学習の追加支援や資格取得の後押しといった任意的支援は、機関によって料金に含まれるかどうかが分かれます。

担当の体制は「1人あたり何人を受け持つか」で聞く

委託先の担当者が多くの施設を掛け持ちしていると、面談の日程が後回しになり、相談への返事が遅れます。

この点については、令和9年4月1日から登録支援機関の要件が改正されます。支援業務を行う事務所ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者と支援担当者を1名以上選任すること、支援業務に従事できる者を支援責任者等に限ること、そして支援担当者の数が委託を受けている機関の数を10で割った数、支援している1号特定技能外国人の数を50で割った数のいずれも超えていることが求められます。

改正前の今の時点でも、この基準を目安として「担当者1人あたり何機関、何人を受け持っているか」を聞くと、体制に余力があるかどうかが分かります。なお、登録支援機関は委託を受けた支援業務を、さらに別の者へ委託することはできません(通訳人などを補助として使うことは可能です)。実際に誰が来るのかも、あわせて確かめておきましょう。

相談の言語は「何語で、いつ、誰が」まで確かめる

相談・苦情への対応は、本人が十分に理解できる言語で行うことが義務的支援として定められています。確認したいのは、対応言語の一覧ではなく、受け入れる人材の母国語で、夜間や休日にも連絡が取れるか、通訳が社員か外部かです。

介護の現場では、夜勤明けの体調不良や家族の急な事情など、相談が勤務時間外に出てくることが少なくありません。

費用は月額ではなく年額の総額で比べる

月額だけを比べると、支援の範囲が狭い契約のほうが安く見えてしまいます。見積書は次の項目を並べて、年額に直して比べてください。

費用の項目 確かめること
月額の支援委託費 1名あたりの金額と、義務的支援10項目がすべて含まれるか
初期費用 契約時や受入れ時に別途かかる費用があるか
紹介料 人材紹介も依頼する場合の金額と、早期離職時の扱い
別料金になりやすい項目 通訳の派遣、空港送迎、在留期間更新時の書類作成の支援など
契約期間と解約 最低契約期間、解約の申し出の期限、途中解約時の費用

金額の規模感をつかむために、ケアコンパスの料金で計算すると、支援業務費用は1名あたり月額3万円なので、3名を受け入れた場合は年間108万円です。人材紹介も依頼する場合は、紹介料が外国人材1名につき一律40万円かかります。相談・面談、人材選定、面接サポート、申請手続きは無料です。

他社の見積書も同じ形に直して並べると、どこで差が生まれているのかが見えてきます。

届出と引継ぎへの関わり方を確かめる

支援を全部委託していても、随時届出は受入れ機関である施設が出す必要があり、登録支援機関が代わりに届け出ることはできません。年1回の定期届出でも、施設は登録支援機関による支援実施状況を取りまとめて提出します。

そのため、委託先が届出に必要な資料をいつ、どの形で施設に渡してくれるかは、施設の事務負担を大きく左右します。届出の全体像は「特定技能の定期届出と随時届出とは?年1回への変更点と怠った場合の影響」で解説しています。

将来、委託先を替えることになった場合に、支援の記録を引き渡してもらえるかも、契約前に聞いておくと安心です。

委託先を比べる比較表(質問例つき)

候補の委託先と面談するときは、次の表の質問をそのまま使ってください。回答を書き留めて並べると、違いがはっきりします。

確認項目 質問例 安心できる回答の例 注意したい回答の例
介護分野の実績 介護施設で何名を支援し、1年後に何割が在籍していますか 支援人数と定着の数字を示せる 「多数」など数字が出てこない
担当の体制 当施設の担当者は1人で何機関・何名を受け持っていますか 人数を答え、担当者の名前まで分かる 「その都度、空いている者が対応します」
定期面談 3か月に1回以上の面談は、夜勤のある職員とどう日程を合わせますか シフト表をもとに日程を組み、上司との面談もあわせて行う 「電話で確認しています」
相談の言語 夜間や休日に本人の母国語で相談を受けられますか 連絡手段と対応する人が決まっている 「翻訳アプリで対応します」
支援計画書 契約前に支援計画書の案を見せてもらえますか 案を示し、各項目のやり方を説明できる 「契約後にお渡しします」
届出の資料 随時届出と定期届出の資料は、いつ、どの形で渡してもらえますか 時期と書類の形が決まっている 「届出は施設さんの仕事なので」
費用の総額 月額以外にかかる費用をすべて教えてください 別料金の項目を書面で示す 月額だけを強調する
変更時の引継ぎ 契約を終える場合、支援の記録を引き渡してもらえますか 引き渡す書類と時期を答えられる 解約の条件だけを説明する

介護施設ならではの確認点は?

介護分野には、ほかの分野にはない手続きや事情があります。委託先が次の点を理解しているかも確かめておきましょう。

協議会の入会と受入事業所の登録

介護分野で特定技能外国人を受け入れる法人は、地方出入国在留管理局での在留諸申請を行う前に「介護分野における特定技能・育成就労協議会」の構成員となり、入会証明書の発行を受ける必要があります。入会証明書に登録されていない事業所で受け入れることはできず、事業所を追加するときは事前の申請が必要です。受け入れた日から4か月以内には、外国人の情報を協議会のシステムに登録します。

複数の事業所を持つ法人や、異動の可能性がある法人では、この段取りまで案内できる委託先かどうかで手間が変わります。

訪問系サービスに従事させる場合

特定技能外国人を訪問系サービスに従事させる場合は、受入機関が関係書類を協議会の事務局へ提出し、外国人ごとに適合確認書の発行を受ける必要があります。訪問系サービスを運営する法人は、委託先にこの経験があるかを聞いておきましょう。

シフトと定着への理解

夜勤を含むシフトや、利用者家族への対応、多職種との連携といった事情を理解していない委託先では、面談が形式的になりがちです。介護福祉士の資格取得まで見据えた日本語学習の支援があるかも、長く働いてもらううえで大切な比較点です。離職につながりやすい原因は「外国人介護職員が辞める施設・定着する施設の違い」で整理しています。

契約前のチェックリスト

契約書に押印する前に、次の項目を確かめてください。

  • □ 委託先が登録支援機関登録簿に掲載されている
  • □ 支援計画書の案を見て、各項目のやり方(回数・言語・同行の有無)を確認した
  • □ 義務的支援10項目がすべて月額に含まれていることを書面で確認した
  • □ 別料金になる項目と金額を書面で受け取った
  • □ 契約書に、委託する支援業務の内容と費用の額・内訳が書かれている
  • □ 担当者の名前と、担当者1人あたりの受け持ち数を聞いた
  • □ 本人の母国語で相談できる時間帯と連絡手段を確認した
  • □ 定期面談の進め方と、施設への報告の方法を確認した
  • □ 随時届出と定期届出の資料を受け取る時期を確認した
  • □ 契約期間、解約の申し出の期限、解約時の記録の引き渡しを確認した
  • □ 協議会の手続き(事業所の追加・外国人情報の登録)の段取りを確認した

受入れ機関として施設に残る義務は「特定技能の受入れ機関にはどんな義務がある?委託しても施設に残る基準と責任」もあわせてご確認ください。

よくある質問

大阪の施設なら、大阪の登録支援機関を選ぶべきですか?

所在地が決め手になるのは、面談や公的手続への同行、急な相談に人が出向けるかどうかです。本社が遠方の機関でも、施設の近くに支援業務を行う事務所と担当者がいれば、支障は小さくなります。事務所の場所と、施設まで来るのにかかる時間を聞いておきましょう。

一部の支援だけを委託して費用を抑えられますか?

支援計画の一部だけを委託することはできます。ただし、支援体制の基準を満たしたものとみなされるのは全部を委託した場合だけで、一部委託では施設側に支援責任者などの要件が残ります。また、定期面談の実施を一部だけ委託することはできません。

委託先を決めた後で替えることはできますか?

できます。委託先を替えた場合は、前の委託先との契約の終了と、新しい委託先との契約の締結を届け出るとともに、支援計画の変更の届出も必要です。いずれも事由が生じた日から14日以内に、施設が提出します。

支援の費用を外国人本人に負担してもらうことはできますか?

できません。受入れ機関が実施しなければならない支援の費用は、受入れ機関が負担しなければならず、義務的な支援の実施にかかった費用を本人に負担させることは認められていません。

なお、登録支援機関の料金に法令上の上限はありませんが、支援委託契約には少なくとも、受託する支援業務の内容と、費用の額およびその内訳を盛り込む必要があります。内訳が書かれていない見積書や契約書は、その時点で確認を求めてください。

※ケアコンパスでご案内する人材紹介は、グループ会社の株式会社ラヴェリオリンクスタッフ(有料職業紹介 許可番号27-ユ-300619)が行っています。

まとめ

登録支援機関は1万件を超えますが、登録の有無だけで分かるのは最低限の要件までです。委託先同士を比べるときは、次の3点を必ず確かめてください。

  1. 支援計画書の案で、各支援のやり方を確かめる
  2. 担当者1人あたりの受け持ち数と、母国語で相談できる時間帯を聞く
  3. 月額以外の費用を含めた年額と、届出の資料の受け渡し方を書面で確認する

ケアコンパスは大阪を拠点に介護分野へ特化し、17法人・26施設、延べ160名の外国人材を支援してきました。入職1年後の定着率は93.6パーセント、資格取得率は98パーセントです。

委託先の比較で迷っている方は、大阪の介護施設向け登録支援機関のご案内をご覧ください。他社の見積書と並べて比べたいというご相談もお受けしています。