この記事で分かること
  • 介護施設が特定技能外国人を受け入れるには、対象施設・人数枠・協議会加入・支援体制・雇用条件の5つの要件を事前に確認する必要
  • 自施設のサービスが対象範囲に含まれるか確認し、事業所の常勤職員数から受け入れ可能な人数枠を算出します
  • 訪問系サービスや住宅型有料老人ホームでは追加の要件や個別確認が必要です
  • ケアコンパスでは、採用決定まで無料で対象施設や人数枠の確認から受け入れ条件の整理まで一貫してサポートします

「特定技能の外国人職員を採用したいけれど、うちの施設でも受け入れられるのか」。採用を考え始めたときに、気になることだと思います。

受け入れるには、対象施設・人数枠・協議会への加入・支援体制・雇用条件の5つを確認する必要があります。多くの施設で満たせる条件ですが、施設の種類と人数枠はつまずきやすいため、最初に確認しておきたいところです。

この記事では、5つの条件とその確認方法、採用前に使えるチェックリストを一般社団法人外国人介護留学生支援機構(ケアコンパス)の青山が分かりやすく解説します。

特定技能「介護」の受け入れ条件とは?

特定技能「介護」の受け入れ条件とは?

特定技能外国人を受け入れるには、施設側で確認しておく条件があります。まずは5つに分けて、どんなことを確認するのか見ていきます。

5要件の一覧

介護分野で特定技能外国人を受け入れる際は、次の5つを確認します。

条件 確認すること
① 対象施設 自施設のサービスが受け入れ対象になっているか
② 人数枠 事業所ごとの受け入れ人数が上限を超えていないか
③ 協議会 介護分野の協議会に加入しているか
④ 支援体制 自社で支援するか、登録支援機関へ委託するか
⑤ 雇用条件 日本人と同等以上の報酬や直接雇用などの条件を満たしているか

私が施設から相談を受けるときは、最初に施設の種類と人数枠を確認します。すでに特定技能外国人を雇用している場合は、協議会の加入状況も確認しています。

採用を具体的に進める段階になったら、給与などの雇用条件や支援体制について詳しくお話ししています。

施設側の条件と人材側の条件は別物

特定技能で外国人職員を採用する場合、施設側と本人側で、それぞれ確認する条件があります。

本人については、介護技能評価試験や日本語の試験に合格しているかなどを確認します。ただし、技能実習2号を良好に修了した人など、試験が免除される場合もあります。

施設側では、そもそも特定技能外国人を受け入れられる施設なのか、人数枠に余裕があるのかを確認します。

この記事では施設側の5つの条件を説明しますが、このほかにも特定技能の受入れ機関として守るべき基準があります。

詳しくは、「特定技能の受入れ機関の基準と義務」をご覧ください。

特定技能外国人受け入れ可能な施設の範囲

受け入れ可能な施設の範囲

特定技能外国人受け入れ条件のなかで、最初に確認したいのが施設の種類です。自施設のサービスが受け入れ対象になっていなければ、人数枠などほかの条件がそろっていても採用には進めません。

対象となる施設・事業の考え方

特定技能「介護」は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホーム、デイサービスなど、さまざまな介護施設・事業所で受け入れができます。

有料老人ホームも対象になる場合があります。ただし、同じ名称の施設でも、実際に行っているサービスによって確認が必要なことがあります。

私も施設から相談を受けたときは、施設名だけで判断せず、どのようなサービスを提供しているかを確認しています。

対象となる施設や事業所は、厚生労働省が一覧を公表しています。自施設が該当しているか、早めに確認しておきましょう。

対象施設の一覧はこちらから確認できます。

厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」

対象外・制限のあるサービス形態

「住宅型有料老人ホームでも受け入れられるの?」「訪問介護でも働いてもらえるの?」

施設からは、こうした質問をいただくことがあります。

訪問介護などの訪問系サービスは、以前は特定技能外国人が従事できませんでした。2025年4月からは、一定の条件を満たせば働けるようになっています。

訪問系サービスで働くには、原則1年以上の介護の実務経験や、介護職員初任者研修などの修了が必要です。受け入れる事業所にも、研修や同行訪問などの条件があります。

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も、確認が必要な施設です。施設の名前だけでは判断できず、介護保険上の指定や、実際にどの事業所で働くのかによって扱いが変わります。

受け入れられるかどうか判断に迷う場合は、求人を出す前に確認しておくと安心です。

訪問系サービスの詳しい条件は、厚生労働省の案内で確認できます。

受け入れ人数の上限

受け入れ人数の上限

施設の種類が受け入れ対象になっていても、希望する人数を採用できるとは限りません。介護分野では、事業所ごとに受け入れ人数の上限が決まっています。

事業所単位で日本人等の常勤介護職員数が上限

特定技能外国人の受け入れ人数は、事業所ごとの日本人等の常勤介護職員数が上限です。

例えば、日本人等の常勤介護職員が5人いる事業所なら、特定技能1号の外国人職員を受け入れられる人数は最大5人です。

ここで気をつけたいのが、「常勤」の数え方です。常勤換算で計算した人数ではなく、常勤の介護職員が実際に何人いるかで確認します。

日本人だけを数えるわけでもありません。在留資格「介護」で働く職員や、介護福祉士の資格を取得したEPA介護福祉士なども含まれます。

特定技能1号の職員や技能実習生は、この「日本人等」の人数には含まれません。

常勤職員の数え方は、私が施設から相談を受ける際にも念入りに確認しているところです。施設によって「常勤」の捉え方が違うこともあるので、人数だけを聞いて判断しないようにしています。

複数の事業所を運営している法人でも、法人全体の人数を合算するのではなく、受け入れる事業所ごとに確認する必要があります。

枠の確認手順と枠が広がるケース

受け入れ人数の枠は、次の順番で確認します。

  1.  受け入れる事業所の日本人等の常勤介護職員数を確認する
  2.  すでに働いている特定技能1号の職員数を確認する
  3. 上記1から2を引き、新たに受け入れられる人数を把握する

例えば、上記1が5人、2が3人なら、新たに受け入れられるのは2人です。

私が相談を受けた施設でも、すでに人数枠が埋まっていて、新たな受け入れができないケースがありました。採用活動を始める前に、残りの枠を確認しておくことが大切です。

人数枠は、職員の在留資格が変わることで広がる場合もあります。

特定技能1号の職員が介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」へ変更すると、特定技能1号の人数には含まれなくなります。その職員が常勤の介護職員として働いていれば、日本人等の常勤介護職員数に含められます。

職員の資格取得の見通しも含めて、今後の受け入れ人数を考えておくとよいでしょう。

介護分野の特定技能協議会への加入

介護分野の特定技能協議会への加入

施設の種類や人数枠を確認したら、次は協議会への加入です。見落とされやすい手続きですが、加入していなければ特定技能外国人を受け入れることはできません。

加入は初回受け入れ前に必要

介護分野で特定技能外国人を受け入れる法人は、「介護分野における特定技能・育成就労協議会」(旧称 介護分野における特定技能協議会:以下「協議会」)への加入が必要です。

以前は受け入れ後の加入でも認められていましたが、現在は在留資格の申請前に加入し、入会証明書を取得しなければなりません。

私が関わっている施設では、協議会への加入そのものでつまずいたケースは特にありません。ただ、以前とは加入のタイミングが変わっているため、初めて受け入れる施設には早めに案内するようにしています。

入会証明書には、受け入れる事業所の情報も登録されます。法人がすでに加入していても、新しい事業所で受け入れる場合は、その事業所の登録状況を確認する必要があります。

採用が決まってから慌てないよう、在留資格の申請に向けたスケジュールに協議会への加入も組み込んでおきましょう。

加入手続きの概要と注意点

協議会への加入は、専用のオンラインシステムから申請します。法人や受け入れ予定の事業所の情報を入力し、事業所の指定通知書などを提出します。

申請内容の確認が終わると、入会証明書が発行されます。厚生労働省の案内では、通常2週間程度が目安とされています。

加入した後も、登録情報が変わったときは更新が必要です。協議会が行う調査などにも協力することになっています。

申請方法や必要書類は、厚生労働省の案内で確認できます。

支援体制は自社か登録支援機関へ委託か

支援体制は自社か登録支援機関へ委託か

特定技能外国人を受け入れる施設は、仕事だけでなく、日本での生活についても支援する必要があります。採用を進める前に、施設で支援するのか、登録支援機関に委託するのかを決めておきます。

1号特定技能外国人への支援は義務であり、支援計画の作成が前提

特定技能1号の外国人職員を受け入れる場合は、支援計画を作り、計画に沿った支援を行う必要があります。

例えば、日本での生活に必要な説明をする生活オリエンテーションや、仕事・生活についての相談対応、定期的な面談などがあります。

支援は採用後に考えればよいものではありません。在留資格を申請するときには、支援計画や支援を実施できる体制を整えておく必要があります。

そのため私は、相談の段階から、誰が支援を担当するのか、必要な支援を続けられるのかを施設と一緒に確認しています。

支援には、仕事以外の時間に対応が必要になることもあります。施設の職員だけで対応できるかどうかも、受け入れる前に考えておきたいところです。

自社支援と委託の判断

特定技能外国人への支援は、施設が自社で行う方法と、登録支援機関に委託する方法があります。

自社支援を行うには、過去の外国人の受け入れ実績などの条件を満たす必要があります。

支援方法を決めるときは、次の3つを確認します。

  • 自社支援の要件:支援責任者や担当者を選任し、必要な基準を満たせるか
  • 業務の負担:生活支援や定期面談などを、施設で継続して行えるか
  • 外国語への対応:本人が理解できる言語で相談に対応できるか

私が関わっている施設では、最初から自社支援を希望するところはあまり多くありません。

自社支援を希望される場合は、必要な支援を自分たちで続けられるか、業務の負担も含めてお話ししています。

最初は登録支援機関に委託して、1年ほど経ってから自社支援に切り替える方法もあります。切り替えるときには、自社支援の要件を満たしている必要があります。

施設の状況に合わせて、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。

登録支援機関への委託については、「登録支援機関を利用するメリット」の記事でも紹介しています。

雇用条件は同等報酬・直接雇用が基本

雇用条件は同等報酬・直接雇用が基本

受け入れにあたっては、給与や雇用形態など雇用契約の内容も確認が必要です。誤解されやすい部分もあるので、採用前に内容を確認しておくことが欠かせません。

日本人と同等以上の報酬と直接雇用

特定技能外国人を採用するときは、給与と雇用形態について、次の2つの条件があります。

  • 給与: 仕事内容や経験などを踏まえ、同じ条件で働く日本人職員と同等以上の報酬にする
  • 雇用形態: 施設を運営する法人が直接雇用する。派遣は認められない

施設から相談を受けるなかで、私が特に説明する機会が多いのは給与です。

日本語がまだ十分に話せない場合、給与を低く設定してもよいと思われていることがあります。

日本語力だけで判断するのではなく、仕事内容や経験などを踏まえて、同じような仕事をする日本人職員と同等以上の報酬にする必要があります。

雇用形態についても、登録支援機関から外国人職員が派遣されると思っている施設があります。

登録支援機関は、外国人職員の生活面などを支援する機関です。雇用するのは施設を運営する法人になります。

この2つは、採用を進める前に施設と確認するようにしています。

関連記事:「外国人介護人材の採用は本当にコスト削減になる?派遣・人材紹介と比べたコストを解説!」

非自発的離職・行方不明・保証金の不存在

給与や直接雇用のほかにも、受け入れ機関として守るべき条件があります。

  • 非自発的離職: 過去1年以内に、施設側の都合などで同じ仕事の職員を離職させていないか
  • 行方不明者: 過去1年以内に、施設側の責任による行方不明者を出していないか
  • 保証金・違約金: 本人に保証金を求めたり、違約金を定めたりしていないか
  • 支援費用: 義務的な支援の費用を本人に負担させていないか

これらは介護分野に限らず、特定技能の受け入れ機関に共通する条件です。詳しくは「特定技能の受入れ機関の基準と義務」の記事で紹介しています。

受け入れ条件のセルフチェックリスト

ここまで紹介した5つの条件を、一覧にまとめました。採用を進める前に、施設でどこまで準備できているか確認してみてください。

チェック項目一覧

確認欄 条件 チェックすること・確認先
① 対象施設 自施設のサービスが対象か。厚生労働省の対象施設一覧で確認
② 人数枠 事業所ごとの常勤介護職員数と、現在の特定技能1号の人数を確認
③ 協議会 協議会に加入しているか。未加入なら在留資格申請前に手続き
④ 支援体制 自社支援の要件を満たせるか。難しければ登録支援機関への委託を検討
⑤ 雇用条件 日本人と同等以上の報酬、直接雇用などの基準を満たしているか

表は確認する順番に並べています。特に①対象施設と②人数枠は受け入れの可否に直結するため、最初に押さえておくと、その後の準備をスムーズに進められます。

最初からすべての項目が埋まっていなくても問題ありません。確認できている項目と、まだ決まっていない項目を分けておくだけでも、次に何をすればよいかが見えてきます。

条件を満たしていない場合の対応

満たしていない条件があっても、すぐに受け入れを諦める必要はありません。足りない条件ごとに、次のような対応を検討します。

満たしていない条件 検討すべき対応策
対象施設ではない場合 ほかの在留資格で働けるか、事業所のサービス形態を含めて確認する
人数枠が足りない場合 常勤介護職員の確保や、採用時期の調整を考える
協議会に未加入の場合 在留資格申請前に加入手続きを進める
支援体制が整っていない場合 登録支援機関への委託を検討する
雇用条件が合わない場合 給与や雇用契約の内容を見直す

私は最初の相談で施設の種類と人数枠を確認し、足りない条件があれば、何から整えればよいかを施設と一緒に整理しています。

特に訪問系サービスは受け入れる事業所にも研修や同行訪問などの条件があるため、検討の早い段階で確認するようお伝えしています。

ケアコンパスでは、採用を決める前の段階でも、対象施設・人数枠・協議会・支援体制といった受け入れ条件の相談を無料で行っています。

まとめ

特定技能「介護」の外国人職員を受け入れるには、対象施設・人数枠・協議会への加入・支援体制・雇用条件の5つを確認する必要があります。

なかでも、つまずきやすいのは施設の種類と人数枠です。検討の段階でセルフチェックをしておけば、採用活動を始めてから「受け入れられない」と分かる事態を防ぎやすくなります。

条件がすべて整っていなくても、何が必要なのか分かれば、準備を進められる場合があります。

「うちの施設でも受け入れられるのかな」と気になる方は、検討を始めたばかりの段階でも、お気軽にケアコンパスへご相談ください。

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