この記事で分かること
  • 訪問介護で特定技能などの外国人材を初めて受け入れる場合、本人側の資格要件と事業所側の安全・育成体制の双方向の準備が受入成功の鍵
  • まずは既存スタッフの経験や研修の修了状況を確認したうえで段階的な受入方針を判断することが重要
  • 未経験者の場合は事前の研修受講や段階的な同行訪問が必須となります
  • ケアコンパスでは、初任者研修の受講から訪問介護を見据えた受け入れ・育成の進め方まで個別にご相談をサポートします。

「訪問介護でも外国人材を受け入れられるようになったけれど、何から確認すればいい?」

実際に相談を受けていると、必要な要件を知らずに進めようとする事業所もあれば、準備が多そうだと感じて受け入れを迷う事業所もあります。

訪問介護で外国人材を受け入れることはできますが、本人の要件と事業所側の準備が必要です。

この記事では、受け入れの要件から、一人で訪問できるようになるまでの育成、訪問介護ならではの注意点まで、一般社団法人外国人介護留学生支援機構(ケアコンパス)の青山が分かりやすく解説します。

訪問介護の外国人スタッフ受け入れは段階を踏むのが現実解

訪問介護の外国人スタッフ受け入れは段階を踏むのが現実解

訪問介護の受け入れは、必要な準備を聞いて「そこまでしないといけないなら、うちはまだいいかな」となる事業所もあります。

ただ、最初から一人訪問まで一気に整える必要はありません。焦らず段階を踏んで準備を進めるのが現実的です。

訪問介護で外国人材の受け入れが可能に

これまで、技能実習生や特定技能外国人は、訪問介護などの訪問系サービスで働くことが認められていませんでした。在留資格「介護」やEPA介護福祉士は以前から従事できましたが、2025年4月から技能実習生と特定技能外国人にも対象が広がりました。

技能実習は令和7年4月1日、特定技能は令和7年4月21日から対象になっています。

ただ、施設で働いている外国人職員を、そのまま訪問介護へ配置できるわけではありません。本人の経験や研修の修了状況に加えて、事業所側にも準備が求められます。

この記事では制度そのものを詳しく説明するのではなく、受け入れる事業所が何を準備すればいいのかを中心に見ていきます。

関連記事:「特定技能外国人は訪問介護で働ける?2025年解禁の要件をわかりやすく解説!」

施設系・通所系で経験を積んでから訪問へ、という段階設計

施設系や通所系のサービスも運営している法人であれば、まずそこで介護の仕事や日本語でのやり取りに慣れてもらい、その後に訪問介護へ進む方法も考えられます。

施設内であれば、分からないことがあったときに周りの職員へ確認できます。利用者さんへの対応や記録、報告の仕方などを身につけてから訪問へ進むことで、一人で対応するときの負担も減らせます。

訪問介護に入ることだけを急がず、本人の経験を見ながら、どのサービスから始めるかを決めていくのが無理のない進め方です。本人にとっても、経験を積みながらステップアップできるキャリアの道筋になります。

事例がまだ少ない領域だからこそ、最新情報と相談から始める

訪問介護での外国人材の受け入れは、制度が始まってからまだ日が浅く、事例も十分に蓄積されているとは言えません。運用も今後変わる可能性があるため、厚生労働省などが出す最新の情報を確認しながら進める必要があります。

ご相談でも、「どこまで準備すればいいのか分からない」という段階で声をかけていただくことがあります。

最初から全部そろえようとしなくても、まずは今いる人材の資格や経験を確認して、自分たちの事業所で何が必要なのかを整理するところから始めれば十分です。

そのうえで一人ひとりの様子を見ながら、どこまで任せられるかを判断していく。「今すぐ全部やる」ではなく、「準備を始める」くらいの温度感で進めていけばいいと思います。

一人での訪問介護までの育成ステップ

一人での訪問介護までの育成ステップ

必要な資格や経験を満たしていても、すぐに一人で訪問を任せられるとは限りません。

要件を満たすことと、実際に一人で訪問を任せられることは、分けて考える必要があります。外国人職員だから特別ということではなく、日本人職員を一人立ちさせるときと基本は同じです。

訪問介護でも、同行しながら少しずつ任せる範囲を広げていきます。資格や経験の要件を満たしていても、それだけで一人訪問を任せるわけではありません。

ここでは、同行訪問OJTの進め方と、一人立ちの判断基準に分けて見ていきます。

関連記事:「外国人介護人材を迎える前の準備チェックリスト!内定から入職までに整えることとは?」

施設系との最大の違い

施設系と訪問介護で大きく違うのは、一人で対応する場面が増えることです。

施設であれば、分からないことや利用者さんの急変があったときに、近くの職員へすぐ相談できます。訪問介護では、利用者さんの自宅で一人で判断しなければならない場面があります。

私も、訪問介護で外国人材を受け入れるなら、「一人で対応する」という部分には特に気を配る必要があると感じています。

そのため、研修や同行訪問、緊急時の連絡体制などが求められています。こうした要件は、受け入れを難しくするためのものではなく、一人で訪問する本人を守るための準備だと捉えると要件の意味が見えやすくなります。

同行訪問OJTの組み立て方

同行訪問は、最初から全部を任せるのではなく、少しずつ本人が担当する範囲を増やしていきます。

最初は先輩職員の対応を見てもらい、次に一部の業務を本人に任せます。その後、本人を主担当にして、同行者は必要なときだけフォローする形に変えていきます。

進み具合は、たとえば次のような項目で確認します。

  1. 利用者さんごとの注意点を理解している
  2. 鍵の扱いや入退室の流れを理解している
  3. 必要な介助を一人で行える
  4. 記録を正しく書ける
  5. 困ったときに誰へ連絡するか分かっている
  6. 利用者さんや家族と必要なやり取りができる

このように項目で確認しておくと、同行する職員が変わっても同じ目線で進み具合を見られます。

どこまでできるようになったかを確認しながら、少しずつ任せる範囲を広げていきましょう。

一人立ちの判断基準を言語化しておく

一人立ちの時期を、「そろそろ大丈夫そう」という感覚だけで決めるのは避けたいところです。何ができれば一人で任せるのかを、あらかじめ決めておきます。

たとえば、次のような項目を確認できます。

  1. 担当するサービスを、同行者のフォローなしで一通り行える
  2. 担当する利用者さんごとの注意点を、自分の言葉で説明できる
  3. 急変時の初動(誰に、何を伝えるか)を説明できる
  4. 利用者さんや家族の困りごとを聞き取り、必要に応じて事業所へ伝えられる
  5. 記録まで含めて、一人で訪問を終えられる

最初から一人で任せるのではなく、基本的には段階を踏みます。その業務ができるようになったか、周りの職員が任せても大丈夫と判断できるかを見て、一人立ちを決めます。

これは施設系での例ですが、訪問介護でも考え方は共通です。

本人にもこの基準を共有しておけば、「あと何ができれば一人で訪問できるのか」が分かります。

一人立ちの考え方は、夜勤を任せるときにも共通します。判断基準の決め方は「夜勤を任せる前の準備」でも紹介しています。

訪問介護特有のリスクに備える

訪問介護特有のリスクに備える

訪問介護では、利用者さんの自宅で一人になる時間があります。その場で判断に迷っても、すぐ隣に相談できる職員はいません。

本人に一人で抱え込ませないためにも、急変時の連絡方法や相談先、ハラスメントがあったときの対応を先に決めておく必要があります。

緊急時・困ったときの連絡体制をつくる

訪問先で利用者さんの様子が急に変わったり、どう対応すればいいか迷ったりすることはあります。そんなときに、一人で判断させないことが大事です。

事業所では、たとえば次のような流れを決めておきます。

  1. まず誰に連絡するのか
  2. 連絡がつかない場合は次に誰へ連絡するのか
  3. 救急要請が必要なときはどうするのか
  4. 利用者さんや家族へ誰が連絡するのか
  5. 事業所へ戻ったあと、誰に報告するのか

この流れは、本人がすぐ確認できるように一枚にまとめて持たせておくと、迷ったときに見返せます。

あわせて、緊急時に使う言葉も事前に確認し、やさしい日本語で電話越しに状況を伝える練習もしておくと安心です。

ハラスメントから職員を守る仕組みと利用者への事前説明

利用者さんの自宅は、周りの目が届きにくい空間です。だからこそ、ハラスメントがあったときに、本人だけで抱え込まなくていいようにしておく必要があります。

事業所では、相談する相手や報告の流れ、必要に応じて担当を変更する場合の対応まで、あらかじめ決めておきます。

また、外国人職員が訪問することは、利用者さんや家族へ事前に説明します。制度上も、書面で説明し、署名を求めることが必要です。

施設系でこれまで関わってきたケースでは、「外国人だから困る」といった反応はあまりありません。訪問介護とは場面が違いますが、外国人職員を受け入れること自体は、以前より自然になってきていると感じます。

外国人であることを必要以上に特別扱いするのではなく、誰が担当するのか、困ったときはどうするのかを事前に丁寧に伝えておくことが、トラブルを防ぐことにつながります。

外国人材が訪問介護で働くための要件は?

外国人材が訪問介護で働くための要件は?

訪問介護で外国人材を受け入れるときは、本人が満たす要件と、事業所側で整える体制の両方を確認します。

本人が必要な研修や経験を満たしていても、事業所側の準備ができていなければ訪問に出すことはできません。反対に、事業所側の体制だけ整えても、本人の要件が足りなければ進められません。

ここでは、2026年10月時点の要件をもとに解説します。本人側と事業所側にそれぞれ何が必要なのかを順に確認していきます。

本人側の要件

訪問介護で外国人材を受け入れたいと思ったら、まず確認するのは、その人が訪問介護で働くための要件を満たしているかです。

特定技能外国人の場合は、介護職員初任者研修課程などを修了していることに加えて、原則として介護事業所等で1年以上の実務経験が必要です。

採用予定の人や、すでに施設で働いている人を訪問介護へ移す場合は、初任者研修を修了しているか、これまでどのくらい介護の実務経験があるかを確認します。

ご相談の中には、「採用したらすぐ訪問に入ってもらえる」と考えている事業所もあります。必要な資格や経験をお伝えして、そこで初めて知っていただくこともあります。

外国人材の受け入れでは、特定技能で進める予定だったものの、本人側の必要書類がそろわず、予定どおりに進められなかったケースもありました。一度特定活動で受け入れ、書類がそろってから特定技能への変更申請を進めています。

要件を満たしていない場合は、研修の受講や実務経験を積むところから始めます。ケアコンパスでは、外国人材向けの介護職員初任者研修講座も提供しているので、訪問介護で働くことを見据えて、資格取得の段階から一緒に進めることができます。

事業所側に求められる体制の要件

事業所側にも、受け入れるための体制づくりが必要です。

主に、次のような対応が求められます。

  1. 訪問介護の基本事項などを事前に研修する
  2. 一人で訪問できると判断するまで、責任者などが同行してOJTを行う
  3. 本人に仕事内容を説明し、意向を確認しながらキャリアアップ計画を作る
  4. ハラスメントの相談や対応ができる体制を整える
  5. 利用者さんの急変などに対応できる体制や、ICTを活用した業務・相談環境を整える

また、技能実習生や特定技能外国人を訪問系サービスに従事させる前には、必要書類を提出し、受け入れ体制について事前確認を受ける必要があります。

私も、訪問介護では「一人で任せられるか」と「何かあったときにどう対応するか」は特に大事だと思っています。制度上の要件をそろえたら終わりではなく、実際に一人で訪問できるところまでどう育てるかも考えておく必要があります。

まとめ

訪問介護で外国人材を受け入れるには、本人の要件、事業所側の体制、一人で訪問できるまでの育成ステップの3つが欠かせません。同行OJTや緊急時の連絡体制など施設系とは違う準備もあります。

最初からすべてを完璧にそろえる必要はありません。今いる人材の資格や経験を確認し、同行しながらできることを一つずつ増やしていく。段階を踏んで進めることが、訪問介護での受け入れの現実解です。

訪問介護での受け入れを考えているけど、何から確認すればいいか分からないといった場合はケアコンパスにご相談ください。初任者研修の受講も含めて、今の状況を伺いながら、訪問介護を見据えた受け入れと育成の進め方を一緒に整理します。

初めて外国人採用を検討している方は、「外国人採用が初めての方へ」も参考にしてください。

受け入れ可能なサービスについては、「対応施設」でも確認できます。