この記事で分かること
  • 外国人介護職員を初めて受け入れる施設は、住まいと生活・手続きと書類・現場の環境の3つに分けて時期ごとに整理することが最大のポイント
  • 内定直後から住居の確保や入居日の確認に着手し、入職日までのスケジュールに合わせてチェックリストの担当者と期限を割り当てます
  • 時期や項目ごとに誰が何をいつまでに行うかを明確にし、施設と登録支援機関の役割分担をあらかじめ確認したうえで計画的に進める
  • ケアコンパスでは、受け入れ前の準備や役割分担に関するご相談に対応しており、採用成功率85.3%の実績を基に初めての受入をトータルでサポート

「内定は決まったけれど、入職日までに何を準備すればいいのか?」初めて外国人介護職員を迎える施設では迷うこともあると思います。

準備は「住まいと生活」「手続きと書類」「現場の環境」の3つに分け、内定から入職までの時期に沿って確認していけば漏れなく進められます。

この記事では、準備の全体像と領域別のチェックリスト、リストを機能させる運用のコツを一般社団法人外国人介護留学生支援機構(ケアコンパス)の青山が分かりやすく解説します。

外国人介護職員の受け入れ準備で重要なのは?

外国人介護職員の受け入れ準備で重要なのは?

外国人介護職員を迎える準備は、何を用意するかだけでなく、いつまでに用意するかもあわせて考える必要があります。

まずは準備するものを整理し、内定から入職までの予定に合わせて進めていきます。

重要なのは住まいと生活・手続きと書類・現場の環境

受け入れ準備は、次の3つに分けることができます。

  1. 住まいと生活:住居の確保、家具・家電の用意、電気や水道の手配、通勤方法の確認
  2. 手続きと書類:雇用条件書や業務マニュアルの準備、転入届や銀行口座の開設など
  3. 現場の環境:名札や掲示物のふりがな、休憩場所の案内、食事や宗教面で配慮が必要かの確認

どれも、入職日が近づいてから慌てて手配すると漏れが出やすいものです。ほかに、受け入れ責任者や教育担当を決め、既存の職員に説明しておくことも必要です。

人と組織の準備については、「外国人職員の受け入れ体制づくり」で詳しく解説しています。

いつ何を始める?内定から入職までのステップ

準備するものが分かったら、次はいつまでに用意するかを決めます。

住居探しのように時間がかかるものもあれば、入職直前に確認すればよいものもあります。目安として、次の4つの時期に分けて考えると分かりやすいです。

時期 主な準備
内定直後 住居探し、入居日の確認、施設と支援機関の役割分担
入職1か月前 家具・家電、電気・ガス・水道、通勤手段、必要書類の準備
入職1週間前 名札や掲示物、勤務初日の持ち物、休憩場所の確認
前日〜当日 住居の設備確認、出勤経路の再確認、初日の案内

これはあくまで目安です。海外から来るのか、すでに日本で暮らしているのかによっても準備の順番は変わります。

入職日から逆算して、住居や契約など、時間がかかる準備から取りかかります。

住まいと生活の準備チェックリスト

住まいと生活の準備チェックリスト

住まいの準備は、内定が決まったら早めに始めたいところです。

施設の近くに賃貸物件が少なく、住居探しに時間がかかることもあります。住む場所が決まってからも、家具や家電、電気・ガス・水道などの手配が必要です。

住居の確保と家具・家電・ライフラインの手配

住居は施設の近くで探しても、なかなか見つからないことがあります。

ある施設では周辺に賃貸物件がなく、住居の確保に苦労したことがありました。最終的には理事長が空き家を借りられるよう交渉し、施設でリフォームをして住めるようにしてくださいました。準備が整うまでの約1か月間、外国人職員2人は理事長のご自宅でお世話になっていました。

住居の準備では、次の項目を確認しておきましょう。

  • 住居を誰が探すか決め、契約と入居日を確認する
  • 寝具や冷蔵庫、洗濯機などを用意する
  • 電気・ガス・水道・Wi-Fiの利用開始日を確認する
  • それぞれ誰が手配するかを決める

特定技能1号では、住居の確保に関する支援も義務的支援に含まれます。施設と登録支援機関で分担を決め、入居日までに準備を済ませておきましょう。

住居探しで苦労した経緯は、「外国人採用を決断する前に施設長が確認すべき7ポイント」でも紹介しています。

通勤手段と周辺の生活情報の案内準備

住まいを探すときは、施設までの通勤方法もあわせて考えておく必要があります。

以前、バス通勤の外国人職員が、違うバスに乗ってしまうことがありました。乗り場が分かっていても、行き先や降りる停留所まで確認していないと、こうした間違いは起こります。

通勤や生活に関して、次の点を準備します。

  • 自宅から施設までの通勤経路と所要時間を調べる
  • バスの乗り場や行き先、自転車で通る道を確認する
  • 近くのスーパー、病院、役所などの場所をまとめる
  • 必要に応じて、写真や地図を使った生活案内を用意する

バスや電車を使う場合は、入職前に一度、本人と一緒に通勤経路をたどっておくと安心です。乗り場や降りる場所を実際に見ておけば、乗り間違いも防げます。

生活案内も、写真や地図に母国語の説明を添えておくと、来日・転居したばかりの時期の不安を減らせるでしょう。

手続きと書類の準備チェックリスト

手続きと書類の準備チェックリスト

入職前の書類・手続きには、施設で用意しておく書類と、本人が来日・転居してから一緒に進める手続きの2種類があります。

雇用条件書や業務マニュアルなどは事前に準備できますが、住所の届け出や銀行口座の開設などは、本人と一緒に進めることもあります。

施設側で用意する書類|翻訳とふりがなを事前に

入職時に渡す書類は、本人が内容を理解できる形で準備しておく必要があります。

雇用条件書や就業規則などは、仕事を始めるうえで知っておいてもらいたい内容です。日本語だけでは伝わりにくい部分もあるので、必要に応じて母国語の説明やふりがなを付けます。

施設で準備するものを、次のように整理しておきます。

  • 雇用条件書・労働条件の説明資料
  • 就業規則や施設内のルールをまとめた資料
  • 業務マニュアル(ふりがなや写真を付けたもの)
  • 入職後のシフト表・勤務時間の案内
  • 本人への説明と確認(署名)が必要な書類の一覧

書類を渡して署名してもらうだけでは、内容が伝わったか分かりません。本人が理解できているかを確かめながら、説明する時間も確保しておきましょう。

入職直後に集中する行政・生活の手続き

入職前後は、住所の届け出や銀行口座の開設など、いくつもの手続きが重なります。本人だけでは難しいこともあるので、誰が一緒に行くのか先に決めておくとスムーズです。

私が関わった施設でも、外国人職員の銀行口座の開設が難しかったことがありました。そのときは施設の方が銀行に相談してくださり、銀行員の方が施設まで来て、申込手続きを進めることができました。

口座開設のようにつまずきやすい手続きは、施設側でも相談先を考えておくと、本人の負担を減らせます。

入職前に、次の項目を整理しておきます。

  • 入国・転居に伴う住所の届け出と期限を確認する
  • 銀行口座の開設に必要な書類を調べる
  • 携帯電話の契約や利用環境を確認する
  • 社会保険など、施設側で行う手続きを確認する
  • 手続きごとの担当者と同行する人を決める

役所や銀行は、手続きによって必要な書類や受付時間が違います。入職後の勤務予定も考えながら、いつ、どこへ行くかを決めておくと、何度も足を運ばずに済みます。

現場の環境準備チェックリスト

現場の環境準備チェックリスト

入職初日は、仕事の進め方だけでなく、物の置き場所や施設内のルールなど、分からないことがたくさんあります。

新しく入る職員が迷わず動けるよう、名札や掲示物、休憩場所など、入職前に整えられるものは準備しておきましょう。

名札・掲示・マニュアルのふりがな対応

名札や施設内の掲示物、業務マニュアルは、入職前に一度見直しておきます。

介護の仕事では、物品の名前や保管場所、職員の名前など、覚えることがたくさんあります。漢字が読めなくても分かるように、ふりがなや写真を付ける工夫ができます。

準備するものは次のとおりです。

  • 本人が呼ばれたい名前を確認し、名札を用意する
  • 日本人スタッフの名札にも、必要に応じてふりがなを付ける
  • フロアの掲示物や物品のラベルを見直す
  • よく使う物品は、写真と名前を一緒に表示する
  • 業務マニュアルを短く分かりやすい日本語にする

すべてを一度に作り直す必要はありません。まずは入職後によく使う場所や物品から準備し、仕事を覚えながら少しずつ増やしていく方法でも十分です。

休憩・食事・宗教面の確認

休憩する場所や食事のことも、入職前に本人と話しておきましょう。

食べられないものがあるか、宗教上の理由で配慮が必要なことはあるかなど、本人に直接聞いておきます。国籍だけで判断せず、一人ひとりの希望を確認することが大切です。

確認しておきたい項目は以下の4つです。

  • 休憩室や食事を取る場所を案内できるようにする
  • 食べられないものや、食事で気をつけたいことを聞く
  • 宗教上の習慣などで、勤務中に配慮が必要なことがあるか確認する
  • 本人から希望があった場合、施設でどのように対応できるか相談する

私が関わってきた中では、宗教や食事のことで大きな問題になったケースはほとんどありません。ただ、事前に確認しておけば、お互いに気持ちよく仕事を始められます。

特別な対応を最初から決めておくのではなく、本人の話を聞きながら、施設でできることを一緒に考えていくのがいいと思います。

チェックリストを機能させる運用のコツ

チェックリストを機能させる運用のコツ

準備する項目をリストにまとめても、担当する人や期限が決まっていないと、後回しになることがあります。

施設と登録支援機関で誰が何をするのかを決め、入職日までに準備が終わるように進めていきます。

項目ごとに「誰が・いつまでに」を割り当てる

チェックリストには準備する項目だけでなく、担当者と期限の欄を加えることで、準備の進み方が変わります。

例えば、住居探しは誰が担当するのか、家具・家電は誰が用意するのか、本人に準備してもらう書類は何かなど、項目ごとに決めておきます。「誰かがやってくれていると思っていたら、実は手つかずだった」ということも防げます。

チェックリストには、次の項目を入れておきます。

  • 準備する内容
  • 担当者(施設・支援機関・本人)
  • 完了する期限
  • 進み具合(未着手・準備中・完了)

週に1回ほど、施設の受け入れ担当者が進み具合を確認する時間をつくるのも一つの方法です。

担当者と期限が見えるようになれば、準備が遅れているものにも早めに気づけます。

登録支援機関との分担を最初に確認する

特定技能1号の支援は、施設が自ら行う場合と、登録支援機関に委託する場合があります。登録支援機関に委託している場合は、どこまで対応してもらえるのかを最初に確認しておきます。

住居探しや生活に必要な手続きへの同行、生活案内など、支援機関が担当することもあります。

チェックリストを使いながら、担当欄を施設と支援機関で一つずつ埋めていきましょう。

  • 住居の確保や入居準備は誰が担当するか
  • 役所や銀行などの手続きには誰が同行するか
  • 通勤経路や周辺の生活案内は誰が行うか
  • 準備が遅れたときは誰に連絡するか

ケアコンパスでは、受け入れ前に準備リストを施設と共有し、それぞれの役割を決めてから進めています。

施設で用意するものと支援機関に任せるものが分かっていれば、同じ準備を二重にしたり、必要な手配が抜けたりすることも防げます。

まとめ

外国人介護職員を迎える準備は、「住まいと生活」「手続きと書類」「現場の環境」の3つに分けて、内定から入職までの時期に沿って準備していくのが基本です。

内定から入職までに必要な準備を、一覧にまとめました。施設で使うときは、担当者と期限も書き込んでみてください。

時期 準備すること 担当者 期限
内定直後 住居の確保・入居日の確認 ___ ___
施設と支援機関の役割分担 ___ ___
入職1か月前 家具・家電・ライフラインの手配 ___ ___
通勤経路・生活情報の確認 ___ ___
雇用条件書・説明資料の準備 ___ ___
名札・掲示物・マニュアルの準備 ___ ___
休憩場所・食事などの確認 ___ ___
前日〜当日 出勤経路・初日の案内を最終確認 ___ ___
入職前後 住所の届け出など行政・生活手続き ___ ___

時期は目安なので、本人の来日予定や施設の状況に合わせて調整してください。

ケアコンパスでも、受け入れ前の準備や役割分担について相談を受けています。初めて外国人介護職員を迎える施設の方は、「外国人採用が初めての方へ」もご覧ください。